クビを長〜くして待つ三菱重工の原発向けキリンロボ、活躍はまだ先か?:RISCON TOKYO 2013
三菱重工業は「危機管理産業展(RISCON TOKYO)2013」に出展し、福島第一原子力発電所の原子炉建屋内での活用を想定して開発が進められてきた、高所作業用遠隔操作ロボット「MHI-Super Giraffe」を披露した。
三菱重工業は、2013年10月2〜4日の3日間、東京ビッグサイトで開催されている「危機管理産業展(RISCON TOKYO)2013」に出展。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」の下、東京電力・福島第一原子力発電所の原子炉建屋内での活用を想定して開発が進められてきた、高所作業用遠隔操作ロボット「MHI-Super Giraffe」(以下、Super Giraffe)の実機を展示。大迫力のデモンストレーションを披露していた(関連記事:オールジャパンで挑む災害対策ロボット開発、実用化への道は?)。
高所作業用に備えるハシゴ部分の最高到達点は高さ8m。ハシゴ部の先端には、マニピュレータが搭載されており、作業用ツール(手先に当たる部分)を付け替えることで、バルブ開閉、パイプ切断、コンクリートサンプルの取得(ボーリング/採取)、除染、コンクリートの強度検査などが行える(ツール部を伸ばすと高さ10〜11mまで到達するという)。展示会場では、バルブ開閉用のツールが取り付けられていた。ちなみに、2本のツノ部分は配管にあてがい反力を受けるためのもので、バルブの開閉自体は中央の突起部で行うそうだ。
外形寸法2350×800×2000mm、重量4tと、非常に大きなSuper Giraffeが活躍するのは、原子炉建屋の1階部分。「NEDOからの仕様に基づき、最も狭い通路(幅約1m)を遠隔操作で通れるようロボットの幅は800mmに、高さも天井が低い部分もあるためハシゴ収納状態で2000mmと決められていた。こうした仕様を守りながら、何とか8mの高さに到達し、作業できるロボットを開発することができた」(説明員)という。
Super Giraffeの操作には、ゲーム用コントローラを使用する。有線ではなく、無線LANでの遠隔操作が可能。現場作業員の操作ミスの防止や習得支援を目的に、基本操作やコンソール画面のUIなどは、災害対応無人化システム研究開発プロジェクトで開発された他のロボットと統一されている。コントローラによる遠隔操作のため、「Super Giraffeには、走行時のアラウンドビュー用カメラ、ハシゴ伸縮用カメラ、マニピュレータ用カメラ、ツール用カメラなど、全部で9つのカメラが搭載されている」(説明員)とのこと。
また、長時間の無線遠隔操作に対応するため、台車部に大容量の二次電池が搭載されている。具体的には、三菱自動車の電気自動車(EV)「i-MiEV」の車載リチウムイオン電池システムをカスタマイズしたものが搭載されている(関連記事:重量4トンの災害対応ロボットを連続5時間稼働、「i-MiEV」の電池システムで実現)。展示会場では、Super Giraffeに搭載されたEVの普通充電コネクタ部も見せてくれた。
現場投入はこれからとのことで、説明員は「恐らく、除染、配管の検査・補修などに使われるだろう。時期としては来年度か再来年度になるのではないか?」と語っていた。報道陣に向けて、災害対応無人化システム研究開発プロジェクトの成果報告が行われたのは2013年2月20日のこと。事態収束のため、一日でも早い実践投入が期待される。
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