アベノミクス効果顕在化も、製造業は投資抑制傾向続く――2013年4〜6月期:製造マネジメントニュース
内閣府の四半期GDP速報の改定値が発表され設備投資が大きく上方修正された。財務省が発表した法人企業統計調査でも、設備投資が3期ぶりにプラスとなったことが明らかにされている。製造業も利益を回復させているが設備投資の抑制傾向は変わらず内部留保を分厚くする傾向が続いている。
内閣府が2013年9月9日に発表した2013年4〜6月期の四半期別GDP速報の改定値では、実質GDPで年率3.8%、名目GDPで年率3.7%と、どちらも1次速報値に比べて年率換算で1%前後上方修正された。また企業の設備投資についても1次速報値のマイナス0.1%から実質値で1.3%増と上方修正。“アベノミクス”と称される政府の経済政策の効果が、製造業にも好影響をもたらしつつあることが明らかになった。
実質GDP成長率に対する内外需別の寄与度を見ると、内需が民間企業設備や民間在庫品増加などから0.7%となり、1次速報値(0.5%)から上方修正された。外需については0.2%と1次速報値と同じ寄与度で、国内需要および設備投資の増加がGDP成長をけん引した。
製造業は設備投資の抑制が続く
しかし、製造業を見ると、アベノミクス効果を活用し積極的な投資に反転する動きはまだ乏しいようだ。
2013年9月2日に財務省が発表した2013年4〜6月期法人企業統計調査によると、設備投資は前年同期比9.1%減と3四半期連続の減少傾向を続けている。全産業では、3期ぶりに設備投資がプラス反転していることから、製造業の抑制傾向が際立つ状況だ(関連記事:どうする?内部留保――業績回復も設備投資は抑える傾向が鮮明に)。
同調査によると、製造業の売上高は同3.9%減の92兆2310億円。自動車などの輸送用機械が同0.6%増とプラスになった以外では全分野で売り上げは減少。特に汎用機械が同26.2%減、実務用機械が同10.9%減と前年同期に比べて大きく下げている。
ただ、損益面では回復傾向が目立った。経常利益は同51.5%増の6兆369億円となり、2012年10〜12月期から連続で大幅な利益の増加を示している。特に鉄鋼では同10倍以上の経常利益となった他、情報通信機械関連が同6.4倍、輸送用機械が同95.9%増、業務用機械が同61.9%増、電気機械が同41.2%増、金属製品が同41.1%増となるなど、各産業が大きな回復ぶりを示した(関連記事:トヨタ、“アベノミクス”で四半期過去最高益――グループ生産台数は1000万台超え)。
しかし、業績が回復傾向を示す一方で、設備投資は引き続き減少傾向だ。2013年4〜6月期の設備投資は、前年同期比9.1%減の2兆8521億円となり、2012年10〜12月期から3期連続で大きな減少となった。増加したのは輸送用機械(同15.2%増)と石油・石炭関連(同8.2%増)のみ。金属製品が同42.6%減と大きく投資を減らした他、食料品が同25.4%減、業務用機械が同23.9%減、電気機械が同22.1%減、情報通信機械が同24.0%減と20%以上の減少となった。
今回の結果により、全体的な企業の景況感は上向きであることが明確化した一方で、製造業については依然として積極投資を行う状況にはなく、慎重な姿勢を取り続けていることが明らかとなった。業績回復で生み出された内部留保が、どのタイミングで投資に回り始めるか、に注目が集まる。
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