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電池セル不具合から巻き返す、「アウトランダーPHEV」は宇宙船みたいな乗り心地今井優杏のエコカー☆進化論(3)(2/3 ページ)

自動車ジャーナリストの今井優杏さんが、独自の切り口で最新のエコカーや搭載技術を紹介する本連載。今回は、電池セルの不具合による販売中止からの巻き返しを目指す、プラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」を取り上げる。

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ショック! 電池セルの不具合でリコール

 しかし読者の皆さまがご存じの通り、発売後わずか3カ月で三菱自動車はあるショッキングな発表をします。

 そう、バッテリーパックの不具合です。

 2013年3月27日、三菱自動車は「アウトランダーPHEVの不具合について」というタイトルのプレスリリースを提出しました。

 その内容は、

「アウトランダーPHEV(販売会社登録前在庫車両)に搭載しているリチウムイオン電池から発熱し、電池セル及び駆動用バッテリーパックの一部に溶損という事象が1件発生した(後略)」

というもの。

車両の底部から見た「アウトランダーPHEV」のバッテリーパック
車両の底部から見た「アウトランダーPHEV」のバッテリーパック(クリックで拡大) 出典:三菱自動車

 その後すぐに、水島製作所(岡山県倉敷市)で起こったEV「i-MiEV」用の容量16kWhのバッテリーパック1個の発火も発表した三菱自動車でしたが、電池セルのサプライヤであるリチウムエナジー ジャパン、リチウムエナジー ジャパンの親会社のGSユアサとともに驚異的なスピードで対応し原因を究明。先日(2013年8月9日)、その不具合の詳細についての説明会を報道陣向けに開きました。

 説明会によると、まず2013年3月18日にi-MiEV用バッテリーパックの発火が水島製作所で発生。アウトランダーPHEVについては、同年3月21日に販売店でバッテリーパックからの異臭発生と一部溶損が起こり、23日にも販売店でEVシステムの警告灯が点灯し走行不可能に。そして27日には、販売店での充電中に電圧が低下して満充電にならず、EVシステム警告灯が点灯するという計4件の事象が発生しました。

 これらはいずれも納車前のことであり、ユーザーが実際に乗車している際に起きたことではありません。しかし、「たまたま納車前の車両で起こっただけにすぎない」という考えから、不具合発生までに納車されていた約4000台+登録前の車両約4000台、計約8000台について、販売店に頼るのではなく実車を生産している三菱自動車の製作所で、すべてのバッテリーパックの回収・交換を行っています。

 説明会の時点では、不具合を発表するまでに販売していた約4000台のバッテリーパックの回収を完了してほぼ交換を終えており、この夏期休業明けから納車待ち分の新規車両の製作に入るとのこと。この記事が公開されるころには、名古屋と水島の製作所では、フル稼働で納車を待っている皆さんの新しい車両の生産に入っていることでしょう。


 思えば2013年上半期は“バッテリーの不具合”によるニュースがとても多かった。記憶に新しい大きな事件はボーイングの最新鋭航空機「B787」ですが、その問題が冷めやらぬ中でのリコール発表でしたから、私も「走行中の安全は確保されるのか」という点に大きな関心がありました。

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