中国で自動車、部品ともに日本の存在感低下――現地化進む日産、逆襲のトヨタ:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
アリックスパートナーズは、中国自動車関連市場の調査結果を発表。成長続ける中国市場において、自動車メーカー、部品メーカーともに日本企業は存在感を下げつつあることを明らかにした。
下がる日本の存在感
ただ、継続的な成長が見込まれる中国市場において日本企業の存在感は低下が目立つ状況だ。中国の自動車市場における日本企業の台数シェアは、2008年には25.6%を占めていたのに対し、2012年には16.4%まで低下。2013年上期(1〜6月)も15.0%となり、減少が止まらない状況になっている。代わってシェアを伸ばしているのが、ドイツ、米国、韓国の自動車メーカーだ。地元中国メーカーのシェアは約40%でほぼ変わっていないため、日本のシェアはほぼこの3カ国に奪われている状況だ。
また別のアンケートによると、2013年に中国市場において「シェアを1%以上伸ばす自動車メーカー」として、フォード、フォルクスワーゲン、ゼネラルモーターズ、現代自動車などが挙がった一方、「シェアのマイナスが予想される自動車メーカー」として、トヨタ自動車(以下、トヨタ)、日産自動車(以下、日産)、本田技研工業(以下、ホンダ)の日系3社が挙がったという。
さらに日本メーカーの中でも明暗は分かれている。2008年の段階で、トヨタ、日産、ホンダの主要3社の比率は38%、28%、33%だった。しかし、2012年には日産が37%へ比率を大きく高めたのに対し、トヨタは35%、ホンダは28%に減少した。
アリックスパートナーズ・アジアのディレクター(自動車プラクティス)の川口幸一氏は「日産が早期に現地化を進めたのに対し、トヨタは日本から輸入する部品が多いなど、コストが割高だったことから立ち遅れた。ホンダについては当初は大きなシェアを獲得していたが、ブランドや商品力が今の課題。さらに日本企業は工場を南部に作るケースが多いが、ここ最近の中国の自動車販売は北部の成長に支えられており、北部に工場を持つ欧米、韓国企業に競り負けた面もある」と指摘する。
海外自動車メーカーからの受注が課題
一方、日系部品メーカーにとっては、欧米中自動車メーカーからの受注をどう増やすか、が課題だ。部品メーカーは生産拠点を多く中国に建設し、当初は中国を“世界の工場”として活用し、中国から多くの部品を輸出していたが、2004年には中国国内への出荷と、中国外への輸出の比率が逆転。現在は80%以上が中国国内向けの出荷となっている。
また当初は日本の自動車メーカーとの取引が中心となっていたが、日本メーカーが中国市場でのシェアを落とす中、成長を続けるには日本メーカー以外の受注を獲得していかなければならない。しかし、そのためには厳しい価格要求に応えなければならず、コスト競争力は部品メーカーにとっての大きな経営課題となっている。
川口氏は「当社の調査では、70%以上の部品メーカーが設備稼働率80%以下で運営しており、経営のリスクを抱えている。場合によってはさらに淘汰が進む可能性がある」と指摘する。
「メガ・プラットフォーム戦略」の影響
ただ、今後については「グローバル展開する自動車メーカーは大規模なプラットフォーム化を進めており、スケールメリットによるコスト削減を推進中だ。これが現在の市場構造を崩す可能性がある」と川口氏は示唆する。
「グローバルの販売台数をベースにプラットフォームを統合することができれば、中国メーカーよりも強い競争力を実現でき、価格競争力で優位に立つ可能性もある。グローバル体制を整える日産の他、トヨタも中国戦略を再構築する動きを見せており、日系企業の逆襲を期待したい」と川口氏は話している。
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