オラクルが指摘する“日本企業4つの経営課題”とは?――日本オラクル事業方針:製造ITニュース
日本オラクルは2014年5月期の事業戦略を発表した。日本企業の抱える4つの経営課題に触れ、IT部門だけでなく事業部門への直接提案を強化していく方針を示した。
日本オラクルは2013年7月1日、2014年5月期の事業戦略を発表した。モバイルやソーシャル、クラウドなど新たなITプラットフォームが企業運営の基盤になりつつある中、これらの変化に対応する各種ソリューションを用意するとともに、よりビジネスサイドに踏み込んだ提案を進める方針を示した。
日本オラクルの2013年5月期の業績は、SaaSビジネスが成長し、垂直統合型システムの売れ行きも好調だったことを受け、3期連続の増収となった。
IT業界では、モバイルやソーシャル、クラウドによる新たなプラットフォームを“第3のITプラットフォーム”とし、対応する動きを強めている。日本オラクル 代表執行役社長 最高経営責任者の遠藤隆雄氏は「第3のITプラットフォームにより企業と消費者の距離は劇的に短縮されている。この中でさらに情報を分析・活用する力が企業の競争力の源泉となる」と話す。
市場軸、製品軸双方で根深い日本企業の課題
さらに、日本企業にとっては「持続的な成長」「加速する新次元のグローバル化への対応」「経営管理とガバナンス戦略」「止まることのないITの進化とその活用」の4つの重要な経営課題があると指摘する。
遠藤氏は「日本企業の現状を見ると、実態が伴っていない成長戦略が多いように思う。企業の成長とは市場軸と商品軸の掛け算で示される場合が多いが、新しい製品をどう生み出すか、新しい市場にどう取り組むか、の両面で日本企業は根深い課題を抱えている」と話す。
さらに「新たな製品を生み出すにはユーザーニーズを把握しなければならない。また日本をベースとするのではなくグローバルの市場に向けて提供する必要がある。これらの効率的な実現はITを活用しなければ難しい。ITはもはや単なるツール(道具)ではなく、企業の業績を左右するウエポン(武器)になりつつある」と遠藤氏は強調した。
事業部門へのアプローチを強化
これらの流れから、同社では単なるITベンダーではなく、よりビジネスサイドに踏み込み、ビジネスパートナーとしての役割を強めていく方針だ。さらにアプローチも従来のIT部門だけでなく、ビジネス主体である事業部門に直接アプローチし、ビジネスプロセス改革やビジネスモデル変革などを提案していくという。
遠藤氏は「ビジネス部門にアプローチするには、ビジネスが分からないと駄目だ。新たにビジネス設計などができる人材の採用を行う。また成功事例の情報発信などを強化する。情報発信と人材強化の2軸で強化を進めていく」と話している。
また製造業向けの営業を担当する日本オラクル 執行役員製造営業統括本部 統括本部長の飯島淳一氏は「製造業における事業部門へのアプローチは当社にとっては厚い壁があった。しかし経営者の危機感やグローバル化の流れから、徐々に動きは変わりつつある。特に経営者との関係により、導入に至るケースは増えてきている。M2Mクラウドソリューションなどの動きが特に最近は良くなってきており、さらにこの流れを広げていきたい」と話している。
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