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これがアタラシイ時代のハイブリッド! 「レクサスIS300h」はエコも走りも両立今井優杏のエコカー☆進化論(1)(3/3 ページ)

自動車ジャーナリストの今井優杏さんが、注目のエコカーと搭載技術を紹介する新連載がスタート。元レースクイーンで、現在はモータースポーツイベントでMCとしても活躍中であり、2013〜2014年の日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める今井さんがエコカーの進化に迫る!

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「IS300h」のライバルは欧州ディーゼル勢

 そこまでして戦いたかった相手はズバリ、欧州のディーゼル勢

 プレス試乗会では、IS300hの開発陣も、「今回のテーマはとにかく“燃費と低CO2排出量”だったんです」とその苦労を漏らしていました。トヨタは今回、少ない燃料でエンジン燃焼を行えるという性質からCO2排出量が少ないディーゼルエンジンに対して、欧州向けに展開していた唯一のディーゼルエンジンを捨て(!)、お得意のガソリンハイブリッドで勝負を挑みました。

 日本では、JC08モードで表わされる燃費を基にエコカー減税のような優遇策が取られていますが、欧州では1km当たりのCO2排出量が優遇策の基準になっています。購買者としてはこの“CO2排出量”というのが新車購入の際の大きな基準になります。

 そしてIS300hは先述のような涙ぐましいエンジニアの努力と先進技術の融合の結果、なんと前代未聞のCO2排出量で99g/kmを達成しちゃったのです。競合となるBMWの「320d」が109g/kmですから、発表当時は欧州からも大きな反響を得たといいます。

 厳しいCO2排出量規制対策のため、欧州でのモデル展開はIS300hとIS250のみ。IS350はアジアと北米のみの展開となりました。

「レクサスIS」の各モデル
「レクサスIS」の各モデル。左から、「IS250」、「IS350」、「IS300h」(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 実際に乗り込んでみると、ダウンサイジングエンジンの弊害はみじんも感じません。

スムースに加速し始め、滑らかかつパワフル。あらゆる意味で先代を凌駕(りょうが)する出来栄えに本気で驚きました。

 IS300hは、他モデルではスペアタイヤが収納されているべきトランク下部にハイブリッド用バッテリー(ニッケル水素)を配置していることから、後部衝突の際のバッテリー破損に備えてバッテリーを鉄板でガッチリと保護しています。このことが、後部剛性を上げる結果になっていることや、他のガソリンモデルよりも車両後部が重くなって前後重量配分が50:50になったというハイブリッド車ならではのうれしいオマケもあります。

 しかし読者諸兄はちょっと腑(ふ)に落ちないところもあるのでは?

 GS450hと同プラットフォームを使っていて、ハイブリッドシステムはクラウンハイブリッドと同じ……2台とも、IS300hとはあまりに位置付けや性格が違うけど、ホントに運転してて楽しいの? と。

走行する「レクサスIS300h」(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 言います。

 楽しいです!

 徹底的に軽量化され、溶接技術の見直しから剛性を上げた新しいISは、ハイブリッドモデルのIS300hを含めて全てのモデルで運転が楽しいのです。

 その性格の差が見事に再現されているところが、新型ISに感動した一番の所以(ゆえん)。

 クラウンはクラウンらしく、GSはGSらしく、そしてISがきちんとISらしさを持っているのが素晴らしいと感じました。

 ちなみに、クラウンハイブリッドと共用している部品が多いIS300h、明確にその差を付けられているのがスポーツモードでの味付け。

 双方とも、トランスミッションはCVTながら、シフトをマニュアルモードに倒せばまるでシーケンシャルのように変速を楽しむことができます。しかし、ISはコンフォート的な性格を求められるクラウンよりも数段ダイナミックに味付けされています。

 クラウンハイブリッドでは、7割以上の踏力がかかったらDレンジに戻るように制御されているのですが、IS300hは最大出力性能を“踏んだら出す”ように設定されているのでした。

 やっぱりISなんだから、ハイブリッドでも走りを期待させてくれないと、ですよね!

 その辺は抜かりなく、きちんとスポーツコンパクトなIS300hだったのでした。

プロフィール

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今井 優杏(いまい ゆうき)

レースクイーン、広告代理店勤務を経て自動車ジャーナリストに転向し、Webメディア、自動車専門誌に寄稿。そのかたわら、モータースポーツMCとしての肩書も持ち、サーキットや各種レース、自動車イベントなどでMCも務め、日本全国を飛び回る日々を送っている放浪系女子。自動二輪と自転車、両方の意味でのバイク好きでもある。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員、2013〜2014日本カーオブザイヤー選考委員。



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