究極の自動空調に高剛性ボディ――新型「レクサスLS」は新技術満載:マイナーチェンジですが
トヨタ自動車の新型「レクサスLS」には、「スピンドルグリル」や「衝突回避支援型プリクラッシュセーフティシステム」の他にも、究極の自動空調システムや、高剛性ボディを実現する製造手法など、さまざまな新技術が採用されている。
トヨタ自動車は2012年10月11日、高級車ブランド「レクサス」のフラッグシップモデル「レクサスLS」をマイナーチェンジし、日本市場での販売を開始したと発表した。
この新型レクサスLSについては、2012年1月発売の「レクサスGS」と同様に、フロントフェイスに「スピンドルグリル」を採用するとともに、先行車両との速度差が時速40km以下であれば衝突を回避できる「衝突回避支援型プリクラッシュセーフティシステム」を搭載することが発表されていた。
しかしこれらの他にも、新型レクサスLSは、世界初、レクサス初となる新技術を多数搭載していることが判明した。
究極の自動空調を目指して
まず世界初となるのが、「レクサス クライメイト コンシェルジュ」である。最大で13個のセンサーを用いて乗員の体温を検知し、4席独立温度調整オートエアコン、コンフォータブルエアシート、ステアリングヒーターといった、車室内の空調システムや温度制御システムを連携させることで、すべての乗員が快適に過ごせるような環境を提供できるという。従来のトヨタ車やレクサス車に個別に導入されていた、空調システムや温度制御システムを統合制御し、究極の自動空調制御を実現しようという狙いがある。
例えば冬の朝であれば、エンジンスタートと同時に、コンフォータブルエアシートのシートヒーターによる速暖機能で乗員を素早く暖める。快適に感じる温度まで温まれば、オートエアコンで暖めた乗員周辺の温度上昇に合わせてシートヒーターの温度を下げて、最終的には自動でシートヒーターをオフにするといった具合だ。シートヒーターを手動で操作する必要があった従来のレクサスLSと比べれば、操作はほとんど不要になる。
シートヒーターの動作の比較。上側の、「レクサス クライメイト コンシェルジュ」を搭載する新型「レクサスLS」は、自動で快適な状態になるように制御する。一方、従来のレクサスLSは、シートヒーターを手動で操作する必要がある。(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
ボディ剛性を高める製造技術
走行性能を高めながら、静粛性や快適な乗り心地を実現するために、ボディ剛性を大幅に高めた。そこで、レクサスで初めて採用したのが、「レーザースクリューウェルディング」と「構造用接着剤」である。
レーザースクリューウェルディングは、従来の線レーザーを使ったウェルディング(溶接)よりも、大きな面積でボディを構成するパネルを結合することができる。特に、断面変形を抑制するのに効果的だ。新型レクサスLSでは、ドア開口部の溶接に採用することで、高い結合剛性を確保している。
ルーフヘッダーやロアバックの結合部には、従来から利用しているスポット溶接に加えて、構造用接着剤を採用した。構造用接着剤は、点での結合になるスポット溶接と異なり、面で結合して剛性を高められるというメリットがある。
この他、車室床の左右を結ぶトンネルブレースの大型化や、エンジンサポートメンバーの締結点の増加なども行っている。これらによって、ステアリング支持剛性が従来モデル比で20%向上し、トンネルブレースの変形量も同60%低減できたという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 新型「レクサスLS」は“止まる”プリクラッシュを搭載、進化型自動ハイビームも
トヨタ自動車の新型「レクサスLS」は、「スピンドルグリル」の採用などの大幅な外形デザイン変更以外に、新たに搭載した先進安全システムにも注目すべきだろう。プリクラッシュセーフティシステムは、時速24マイル(約38.6km)以下であれば自動ブレーキで停車して、事故を未然に防げるようになった。 - デンソーが運転席だけ空調できるカーエアコンを開発、新型レクサスGSに搭載
家庭用のエアコンでは、空調する場所を選べるエリア制御の機能が広く採用されている。カーエアコンにも、エリア制御が可能な製品がついに登場した。 - ハイブリッド専用の「レクサス」、10・15モードの燃費は23.0km/l
トヨタ自動車は2009年7月、高級車ブランド「レクサス」として初のハイブリッド車専用モデルとなる「HS250h」を発売した。排気量2.4l(リットル)のアトキンソンサイクルエンジンと、モーター/リダクションギヤを組み合わせたハイブリッドシステムにより、10・15モードにおける燃費で23.0km/lを達成した。