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組み合わせにプロの極意! 品質とコストの両立をかなえるには?甚さんの「バンバン板金設計でキャリアアップ」(12)(3/3 ページ)

実は、プロの技術の1つ1つに難しいことはない。その組み合わせ方に極意あり! 組み合わせの技術で品質とコストの両立をかなえよう。

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コストパフォーマンスとは

甚

2人とも、良く勉強しているじゃねぇかい? あん? そんじゃ、良君! 表1をフィードバックした設計変更後の板金ボックスをお披露目してくれねぇかい?

良

これでどうですかぁ? 三角リブは、コストパフォーマンスを考慮して、必要最小限の箇所に抑えました。コスト優先で何度も止めようかと悩みましたけど……。



図4 断面急変部探索スキャン後の対策の具現化(「ついてきなぁ! 加工部品設計で3次元CADのプロになる!」日刊工業新聞社刊)
甚

三角リブの導入可否は、良君に任せたよ。CAEで解析してみちくり。そんでもって、図4をもう一度見ろ! 「隅部のR」はなぁ、パンチの刃物角(かど)の欠損を防止する効果があってよぉ、生産側もウェルカムだぜぃ。


エリカ

あっ、そういうことだったのですか? 断面急変部探索スキャンってすごいですね。ところで国木田さんが言っていた「コストパフォーマンス」とは、どういうことですか?


良

えぇっ? 専門学校出身のエリカちゃんでも知らないことあったの? でへっ(やっとエリカちゃんの弱点を見つけたぞ!)。コストパフォーマンスとはねぇ……


 設計コンサルタントとして、「品質とコストの両立」で、多くの技術者が悩んでいると聞いています。しかし、このセンテンスは10年以上も前のセンテンスです。

 ちょっと本題からそれますが……、筆者は過去の記事で何度も次のことを解説してきました。それは、「技術者の4科目」です。4科目とは、Q(Quality、品質)、C(Cost、コスト)、D(Delivery、期日)、Pa(Patent、特許)です。

 ここで、「D」を「期日、納期」と訳すのは、約10年前の新人教育でした。今や「D」は、「開発スピード」と約します。開発スピード」と訳せない企業が、新聞の第一面に掲載されました。日本を代表する大手電機メーカーの「S」「P」「P」「S」「S」です。スピード(SPEED)のスペルの「S」が多く、「P」も含んでいるのが何とも皮肉です……。

 さて「品質とコストの両立」は、現在、「コストパフォーマンス」という1つの管理項目で捉える時代となりました。

良

つまり少ない費用(Cost、コスト)で高い成果(Performance、パフォーマンス)が得られる場合、「コストパフォーマンスが高い」と表現します! かつての設計では、「品質とコストの両立」「品質とコストの設計バランスを取る」といい、それが最高レベルの設計ワザでした。


甚

さすがは、富士山麓大学、主席の院卒。実務はダメでも、学問的な知識は豊富だよなぁ。オメェもついでに、世界遺産にしてやるぜぃ。


エリカ

国木田さん、ありがとうございます! なんか、尊敬しちゃうなぁ……。


良

でへっ、でへへへへへ。アベノミクスとアベノテクスってとこかなぁ?


エリカ

………………。


甚

また、それか? 好きだなぁ。次の課題にへいるぞ。そんじゃ、この場合を設計しろ! 図5を見ろ!



図5 板金ボックス設計の新課題(「ついてきなぁ! 加工部品設計で3次元CADのプロになる!」日刊工業新聞社刊)
良

あれっ? 前回(第11回)と同じ設計課題ではないですか?


甚

そんじゃ、前回と比較してよく見ろ!


 前回(第11回)の「上向きシールドボックス」は、誰でも思い付く構造の板金箱ですが、図5に示す「下向きシールドボックス」は、ちょっとした逆転の発想です。フタがいらないのです。

 これを「設計とは組み合わせの技術、何も恐れることはない!」で、具現化してみてください。

良

甚さん、ちょっと考える時間をください。


エリカ

私も……。


甚

おう。構わんぜぃ!


 その解説は次回で。また、お会いしましょう。


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設計 | 「甚さん」シリーズ | 3次元CAD



Profile

國井 良昌(くにい よしまさ)

技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会、埼玉県技術士。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。

1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)をはじめとする多数の書籍を執筆。


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