たった1つの設計プロテクニック「切り起こし」:甚さんの「バンバン板金設計でキャリアアップ」(9)(2/3 ページ)
実は、「切り起こし」だけで、プロの板金設計ができてしまう。だからといって、それだけ覚えるのはダメ。これまで学習したことの積み重ねがなければ意味がないのだ。記事の最後の「溶接の話」と「あの人」にもご注目。
えーっ!? 今までどうしてそれを黙っていたんですか、甚さん!
別に、もったいぶってたわけじゃねぇよぅ。物事にはよぉ、順番ってもんがあるんだぜぃ。よく考えないで、いきなシよぉ最高のテクを教えても、やっと設計者らしくなってきたオメェが、3次元モデラーに逆戻りしチまったら悲しいだろう?
そうなんです。今から解説する「板金設計の最高テクニック」は、良君が「『3次元モデラー』に戻ることがないこと」、つまり「設計書を作成している『設計者』であること」を条件に教えなくてはならなかったのです。
僕がもう3次元モデラーではないことは、前回、きっぱり宣言しましたよ。だから、早く教えてくださいよ。
そうだったなぁ。そんじゃいくぜぃ! 板金設計の最高テクニックとは、図1の中央にある「切り起こし」だぁ。
絵辞書をよく見て、「切り起こし」の形状を確認しましょう。
板金設計っていうのはよぉ、何でもこれを入れちまえばプロになれるんだぜぃ。
何でも!? 驚きのテクですね!
おお、そうだ! 「切り起こし」を入れれば、誰でも板金のプロになれるんだぜぃ! これを見逃すやつぁ、「豆腐の角に頭をぶつけて死んじめぇ」ってんだぁ〜っ!
次に、図2と図3を見ろ!
図2は、デスクトップPCの板金シャーシです。
写真の赤丸部分(上)は、図1の切り起こしの応用例であり、赤丸部分(下)が、切り起し2回曲げの応用例です。
上の例は壁、というか側面からの切り起しですね。下の例は、切り起しを2回曲げているのか……。
図3は、インクジェットプリンタの部品で、現物写真と、切り起こし2回曲げを理解するための3次元モデルのキャプチャーです。
さすが、富士山麓大学 大学院の主席卒業者だぁ。“学問的に”実務を教えると理解が早ぇ〜ときたもんだ。しかし次が問題だ。図2のL1や、図3のL2の寸法は、どうする?
そうくると思っていました。いよいよ「なぜ重要か」の結論でしょ?
そうだ! 図4を見チくれ。前回も出した図だが、これを思い出しチくり。
図1の中央部に「切り起し」があり、絵辞書に記載されているルールは、「逃げ≧2t(tは板厚)」です。
次に、図4の「展開図と展開寸法」、特に、展開寸法を求める中心線の理解が必要になります。図2や図3の事例における展開図を考えるとき、図4における2回曲げの「展開寸法」を計算します。この展開寸法を「L3」とします。
従って、図2および図3にある「L1、L2≧L3+2t」となります。
この際だから、言わせて
オメェ、ここまで完璧だぜぃ! さすが、富士山麓大学大学院の主席卒業者だぁ! 昔から出来のいいやつと思っていたんだぜぃ。
……(この後に、コロッと「役立たずの院卒」って言うんだろうな)。あざース! でも、ここまでは小学生レベルですね。この計算式も簡単だし。
「小学生レベル」だとぉ? そんじゃ、なぜオメェがここにいるんだぁ。役立たずの院卒だからだろがぁ、あん? そうだろ〜って?
(ほらぁ、やっぱり!!)甚さん、2013年が始まってしばらくたち、もう2月の半ばです。ここで、はっきりしておきたいことがあります。
んっ? 何だ? まどろっこしいやつだ。さっさと言え!
以前の僕は、確かに「役に立たない院卒」「図面描けない読めない院卒」「材料選択できない院卒」、そして「仕事を取りにいかないCAE技術者」「QCDPaのQにしかかかわらないCAE技術者」「加工法も知らないCAE技術者」でした!!
オメェ、NN(ないない)デパート状態だったんだな。自分のこと、分かっているだけでもマシだぜぃ! 人生、自覚が必要だ。
あざース! その自覚があったからこそ、あの『甚さんの「設計分析大特訓」』で、まずは3次元モデラーから脱皮しました。製図は山田学先生の連載から学びました。
てーしたもんだ。
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