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たった1つの設計プロテクニック「切り起こし」甚さんの「バンバン板金設計でキャリアアップ」(9)(3/3 ページ)

実は、「切り起こし」だけで、プロの板金設計ができてしまう。だからといって、それだけ覚えるのはダメ。これまで学習したことの積み重ねがなければ意味がないのだ。記事の最後の「溶接の話」と「あの人」にもご注目。

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今、振り返る。国木田良太、設計大特訓の軌跡

  1. 『甚さんの「設計分析大特訓」』で、僕は3次元モデラーから脱皮し、設計書を書き始めた。それと同時に、「なんでもあり!」ではなく、「設計思想とその優先順位」を学んだ。特に、設計思想に設計者の生きがいを見いだした。

  2. 『甚さんの「設計サバイバル大特訓」』では、「樹脂設計が機械設計を制す!」ことを学び、樹脂設計の押さえどころと最低限の検図方法を理解し、「これが、設計のサバイバル術か!」と感激した。

  3. 『甚さんの「想定内だぜぃ! トラブルは」』では、トラブルに「想定外」はなく、全てが「想定内」であることを理解した。「想定外」と表現する場合の原因は「手抜き」であることを知った。また、トラブル原因の98%が「トラブル三兄弟」であることも知った。それから、「頑張れ! 日本」の掛け声があるが、「まずは、自分が頑張れ!」と、甚さんに怒られた。頑張っていないヤツに、『頑張れ!』と言われたくない」ということであると。

  4. 『甚さんの「技術者は材料選択から勝負に出ろ!」』では、機械材料に関する知識を、料理人の食材知識と比較した。自分が「恥かしいくらいの無知」であったことを痛感。料理人同様、材料選択から勝負できる技術者になりたいと思った。
良

そう、僕だって、進歩してなかったわけじゃないんですっ! 甚さんに「実務ができない院卒」呼ばわりされ! 殴られて! 叱られて! 泣いて! 悩んで! 学習して! 失敗して! とにかく、前に進んできたのです!!


甚

確かに、そうだなぁ。うーん、オイラもいろいろ言い過ぎてきたかな、悪かった。そんじぁ、久々にホッピーでもいくかぁ、あん? 後は飲みながら話そうじゃねぇかい。


良

いいですね! 僕も飲みたい気分です。あっ、エリカちゃんも呼んじゃいましょうか?


 ひとまず2人は製作所の事務所を出て、近所の行きつけの居酒屋に向かいました。先に飲みながら、エリカちゃんの到着を待つことにしました。

お酒でも飲みながら、溶接の話

 エリカちゃん、「甚さんシリーズ」の会話に初登場……、ですが、今回は事情により顔を伏せています。

エリカ

国木田さんは、ちゃんと頑張ってますか?


甚

おうっ、よく頑張ってるよ。よくずっこけるけどなぁ。


良

ずっこける……。もっとほめてください! ぜひ! この場で!


甚

ところでエリカちゃんは、どうしていまだにアシスタントなのか? 良君以上に設計ができるとオイラは思うんだが。


良

ギクーリ。え、えっと、それは……。


エリカ

どうなんですか……(ジロッ)。


甚

さあさあ! ここでオメェたちに、溶接の“プロの極意”を伝授してやらぁ。



図5 溶接の得手不得手(「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」日刊工業新聞社刊より)

 図5で、スポット溶接とアーク溶接の特徴や、溶接の得手不得手について説明しました。溶接部にはさびやすいので要注意です。何度も掲載したいほど、重要な知識です。さらに、溶接して作る板金箱の設計法も紹介しておきます(図6)。


図6 板金溶接とその設計ポイント(「ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロになる!」日刊工業新聞社刊より)
甚

これぐらいなら、酒飲みながらでも理解できるだろ?


良

板金の溶接設計は、こうやってやるんですね! そうだ、うちの会社では、工場見学会をやっているんですが、はっきり言って、工場見学しただけでは溶接のこともよく分からなかったし、設計もできませんでした。仲間は「社会科見学」って言っていました。


エリカ

うーん、私も1度だけ行ったけど、確かに、現場の雰囲気味わえただけでしたね。


甚

現場を見学するのはよいことだぜぃ。でも、まずは加工法の勉強をしてからだ! そうでないと、オメェたちの言うように、まるで小学生の「社会科見学」になっちまうぜぃ。オメェんとこの課長にも、そう言っておけ!


良

はいっ! 僕から厳しく言っておきますっ!!(キリッ)


エリカ

たのもしいです!


甚

そう言っておきながら、おじけづくんじゃねぇぞ。


 

 ……エリカちゃんの顔は、次回公開します。

 それでは、最後に板金のプロが設計したVTRシャーシの例(図7)を見てみましょう。切り起しを駆使した見事な作品です。


図7 VTRのシャーシに見る、切り起しのテクニック

 このように、板金設計は切り起しを使うだけでプロになれるのです。(次回に続く)。


関連キーワード

設計 | 「甚さん」シリーズ | 3次元CAD



Profile

國井 良昌(くにい よしまさ)

技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会、埼玉県技術士。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。

1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)をはじめとする多数の書籍を執筆。


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