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チャイナプラスワン戦略におけるタイ、変化の兆しが知っておきたいASEAN事情(12)(2/2 ページ)

安価な生産力に加えて国内経済の成長も確かなタイ。チャイナ・プラスワン戦略の要として注目を浴びている。しかし、2013年に入って労働集約型製造業からの脱皮が明らかになるなど変化の兆しが見えてきた。

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タイが求める投資は変化しつつある

 ここでまた製造業関連に話を戻しましょう。

 タイに進出する多くの製造会社は「投資委員会(BOI:Board of Investment)」に認可申請を行います。BOI認可取得の恩恵は多く、その中で最大のものは100%外資での会社設立が認められることでしょうか。

 BOIに拠れば、2012年1〜10月の期間に受理した申請件数は1757件(前年同期比25%増)、投資予定金額の合計は8620億バーツ(同94%増)であったそうです。この投資予定金額のうち、海外からの直接投資額は4650億バーツで、国・地域別のトップは日本の3000億バーツです!

 2011年、日本国内では東日本大震災が起こり、タイでは大洪水が発生しました。こうした未曽有の出来事を経て、2012年度のタイ投資実績が拡大しています。しかし、今後もこうした傾向が続くかどうか、どうしても一抹の不安を感じてしまいます。中国との比較で星取表を作成すれば、タイが優位であるのは間違いありません。しかし、本来、もっと地域・国の選択肢を広げた検討が必要ではないでしょうか。

労働集約産業から脱出図る

 2013年1月1日から、日額最低賃金がタイ全国一律300バーツに引き上げられました。地元の中小企業のうち、少なくない企業が廃業・倒産に追い込まれていると報じられています。製造業を取り巻く環境変化を受け、BOIも新たな方針を打ち出しています。簡単にいってしまえば、労働集約型製造業からの脱皮です。

 例えば、これまで工業団地の所在する「ゾーン」によって各種恩恵を設定していたことに対し、新たに業種単位へ切り替えています。業種に関しても、グリーン産業、代替エネルギーなど高付加価値の産業を奨励認可対象にすると言った具合です。

 詳細はまだ公式発表されていませんが、この新しい方針は従来と相反する部分が多いように見受けられます。既に進出している、もしくは進出を予定している企業の利益はどこまで担保されるのか、相反点については、どこまで折り合いが付けられるのか、今後も継続的に注視する必要があります。

 次回は、チャイナ・プラスワン戦略の中で、あらためて注目を浴びているマレーシア、インドネシアという2つのイスラム教国を取り上げます。



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筆者紹介

(株)DATA COLLECTION SYSTEMS代表取締役 栗田 巧(くりた たくみ)

1995年 Data Collection Systems (Malaysia) Sdn Bhd設立

2003年 Data Collection Systems Thailand) Co., Ltd.設立

2006年 Data Collection Systems (China)設立

2010年 Asprova Asia Sdn Bhd設立- アスプローバ(株)との合弁会社

1992年より2008年までの16年間マレーシア在住


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