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3次元プリンタの特許はどうなっている、国内企業に勝機はあるのか知財ニュース(2/2 ページ)

3次元プリンタ(3Dプリンタ)に利用される3次元造形技術。特許に関する調査会社パテント・リザルトによれば、米3D SystemsとドイツEOSの特許が強い。だが、両社に続く3〜5位は日本企業だ。どこだろうか。

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どの企業が競合関係にあるのか

 パテント・リザルトの分析によれば、3次元造形技術に関する出願傾向には企業ごとに異なるという。まずはこの分野の出願が伸びているのか、それとも減っているかだ。

 ランキング1位の3D Systemsは集計期間内の出願件数は150件と多いものの、出願件数は減少気味だ(図2)。このような傾向はナブテスコにも現れている。一方、ランキング2位のEOSは件数は76件と少ないが、近年の出願が増えており、2006年以降を見ると3D Systemsをも上回っている。


図2 出願年ごとの各社の傾向 出願年ごとに各社の出願件数を集計したもの。2006年以降(桃色や赤)の出願傾向が大きく異なる。出典:パテント・リザルト

3D Systemsと競合しているのはどこか

 3D Systemsは3次元プリンタ関連企業の買収に積極的だ。パテント・リザルトによれば同社の特許侵害訴訟などから、「非常にアグレッシブな企業」であることが分かるという。そこで、3D Systemsの出願過程において日本国内ではどのような企業と競合しているのかを調査した。

 まずは、3D Systemsの特許公報が拒絶理由通知*2)を受けたとき、どの企業の特許公報が多く引用されていたのかを調べた(図3)。

 すると、最も多かったのがナブテスコ(11件)であり、これによって3D Systemsの16件が拒絶理由通知を受けていた。ナブテスコは図2から分かる通り、2005年以降の出願が見つからなかったが、3D Systemsがナブテスコの「強い特許」に阻まれていることが分かるのだという。パテント・リザルトによれば、特に樹脂に関する特許で競合している。

*2) 特許庁の審査官は、出願された発明が特許となる条件を満たしているかどうかを実体審査の段階で判断する。その際、「産業上の利用可能性、新規性・進歩性等の要件」など、幾つかの項目を満たしていない場合、これを拒絶理由として、出願人に拒絶理由通知を送る。


図3 3D Systemsの公報を阻んだ企業 ナブテスコやソニー、富士通の公報を理由に拒絶されている。出典:パテント・リザルト

 逆に3D Systemsの特許公報によって、拒絶理由通知を受けた企業はどこだろうか。図4を見ると、筆頭はEOSだ。3D Systemsの9件の特許公報により、EOSの12件が拒絶理由通知を受けている。図2にある通り、EOSは2006年以降に出願件数を伸ばしているものの、先行する3D Systemsに阻まれている様子が分かる。

 なお、図3と図4に共通して現れる企業は、3D Systemsを阻みつつ、逆に阻まれてもいる。このような企業が2社あった。パナソニック電工とJSRだ。パテント・リザルトによれば、パナソニック電工とは装置・製造プロセスにおいて競合し、JSRとは樹脂に関する技術で競合している。


図4 3D Systemsの公報によって阻まれた企業 出典:パテント・リザルト

 パテント・リザルトは、今回の分析について詳細にまとめた複数のリポート資料を販売している。3次元造形技術の検索式も掲載した。

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