「iPadから遠隔操作で電源オフも」――お手軽・簡単な電力見える化サービス「Navi-Ene」を試す:消費電力を測る・生活を見守る(3/3 ページ)
HEMSのように大規模な導入・設置工事なしに、“電力の見える化”を実現できるサービス/製品が登場しつつある。その1つが、ユビキタスが開発した無線LAN内蔵電源タップ「Navi-Ene Tap」と電力の見える化クラウドサービス「Navi-Ene」だ。今回、設置・導入の手順や使用感などを紹介する。
運用開始
「運用」といっても、特に何もする必要はない。前述の設定さえしておけば、後は勝手に計測してNavi-Eneサービスに消費電力量などの情報をアップロードしてくれる。利用者は、気が向いたときにPCのWebブラウザやタブレット端末(iPad専用アプリ)から確認すればいい。
タップのメイン画面から「タップの情報」「接続機器」「消費電力量(グラフで表示している期間の総消費電力量)」「グラフ」を確認できる。グラフの表示期間は、「今日」「昨日」「2週間」「1カ月」「1年」の5種類から選べる。「今日」「昨日」の消費電力量は1時間単位に、「2週間」「1カ月」の消費電力は1日単位に、「1年」の消費電力は1カ月単位に表示される。
基本的に、総消費電力量と接続機器ごとの消費電力量をグラフ表示するだけなので、電気利用料金の目安表示や節電目標の設定、前日・前月データとの比較など、節電のモチベーションを向上させるような仕組みは含まれていない。できればこのあたりの機能は、有料化せずに基本機能として提供してほしいところだ。ちなみに、筆者の家族も「消費電力量の表示だけではピンとこない。今(これまで)、お金をいくら使っているかの目安が表示された方が節電に効果的だと思う」とコメントしていた。
忘れてはならないのが、遠隔電源制御だ。実は筆者がこのモニターを申し込んだのもこの機能を試してみたかったからだ。
Navi-Eneサービスを表示しているWebブラウザやタブレット端末(iPad専用アプリ)から、遠隔制御でコンセント口の電力供給を1つずつ「オフ」にできる。例えば、Navi-Eneサービスに接続しているPCと、Navi-Ene Tapが同一セグメントにある場合は、Navi-Ene Tapのアクセス周期を待つことなく、リアルタイムに、コンセント口への電力供給を「オフ」にできる(同一セグメントにない場合は、設定されたアクセス周期による電源「オフ」となる)。
おそらく、「何だ、『オフ』だけか……」と嘆かれている読者もいると思うが、法令上許可されていないため仕方ない。
今回は、(筆者がよくやる)コーヒーメーカーの消し忘れを想定して、遠隔からの電源「オフ」を試してみた。なお、機器が接続されているコンセントへの電力供給が遮断されるため、シャットダウン処理が必要な機器に対しては行わない方がよい。遠隔電源制御の操作は簡単で、Navi-Eneサービスのホーム画面の左上にある[タップ選択]で表示されるタップ情報のリストから「オフ」にしたい機器が接続されたコンセントのスイッチ(OFFマーク)をクリックするだけだ。確認用ダイアログで[OK]を選択すれば、対象のコンセント口への電力供給が遮断される。
今回協力してくれた家族の遠隔電源制御に対する評判は上々で、「例えば、何時間もつけっぱなしの機器があれば、消し忘れのアラート(メール通知)をくれるとうれしい」などの追加機能の要望も出てきた。
ただ、困ったのは、遠隔制御で電源を「オフ」にしたコンセントを、再度「オン」にしたい場合にどうしたらよいのか分からなくなった点だ。各コンセント口に対して、個別に電源を「オン」にできる機能や物理的なボタンがないので、仮に4つの口のうち、たったの1つだけが電源「オフ」状態でも、Navi-Ene Tapの[ALL ON]ボタンを押す必要がある。「仕様だ」と言われたらそれまでだが、筆者が今回のモニターで唯一操作に迷ったポイントだ。
電源タップという特性上、Navi-Ene Tapは限られた範囲にある特定の機器の消費電力量を計測することに適している。逆に言えば、家全体の消費電力量を計測するものではない(2万円そこそこするNavi-Ene Tapを家の中全てに設置することは現実的ではない)。
そういう意味で、Navi-Ene/Navi-Ene Tapが実現する電力の見える化の強みは、消費電力量の計測や節電対策そのものよりも、特定の機器の電源状態を監視・制御できる点にあるといえる。例えば、接続されている機器が「オン」なのか「オフ」なのか、何時間電源「オン」状態なのか、それは大丈夫なのか……、ということを監視するのに役立つのではないか。これを発展させれば火災の防止や高齢者の見守りといったサービスにも活用できるかもしれない。
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