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「安定した工程」を作るには? ゼロから学ぶ「管理図」の使い方実践! IE:現場視点の品質管理(13)(1/4 ページ)

生産現場のカイゼン活動に必須の手法を紹介。今回はさまざまな用途に用いられる管理図の、それぞれの性質や使い方をじっくり見ていこう。

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⇒前回(第12回)はこちら
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そもそも管理図(Control Chart)とは何か

 品質管理については、多くの有識者が述べていますが、その中の1つに「顧客や社会の要求する品質を十分に把握して、これに適合する品質の製品を経済的に作り出し、顧客や社会の満足を得るために企業活動の全部門が品質の改善と維持を効率的に行うこと」という定義があります。これを達成するための効果的なツール(手法)が「管理図(Control Chart)」であるといっても過言ではありません。

 しかし、多くの企業では、「発生した」不良や工程異常の対策には最大限の関心を払ってその対策に余念がない一方で、工程の安定化や異常発生の兆候管理にはほとんど無関心といった状況が多く見受けられます

 例えば、品質管理関係の資料といえば、過去に発生した不良件数をまとめた表やグラフと、不良の真因まで究明されていない不良対策書のような書類だけ、という企業も少なくありません。

 管理図は、米国の物理学者、統計学者で「統計的品質管理の父」と呼ばれているW.A.シュハート博士(Dr.Walter Andrew Shewhart:1891〜1967年)が1926年に、初めて管理図(Control Chart)と名付けてから、長く活用されています。統計的に求められた限界線により、管理に用いられるグラフの一種で、統計的手法の1つでもあります。

 管理図は、生産工程が安定した状態にあるかどうかをチェックする場合などに多く活用されます。それにも関らず、意外なほど全く管理図について理解が浅い企業が多いのです

 「品質第一」と掲げているのに、あまり行動が伴っていない状況が多く見受けられます。「統計」と聞くと、何となく取っ付きにくく感じる人が多く、その結果として管理図が正しく理解されないのではないかと思います。

 工程を管理していくためには、偶発的な原因によるバラツキと、異常原因によるバラツキを区別して、異常の原因を取り除き、同じ原因によるバラツキが発生しないように処置することが大切です。

 管理図は、工程異常を検出するために開発された手法です。読者の皆さんには「モグラたたき」の品質管理から早期に脱却し、「管理図」による先手管理を中心とした品質管理に移行して頂きたいと思いますので、本稿では少し丁寧に説明していきましょう。

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