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思い描いた「コンセントの未来」、ソニー発の強力な技術を使いこなせるか小寺信良のEnergy Future(16)(1/4 ページ)

ソニーが開発した「認証型コンセント」。前回はコンセントが家電を認識する仕組みを紹介した。今回は認証型コンセントを使うと何ができるのか、アプリケーション側から考えてみたい。他のさまざまな革新技術同様、大きな可能性を秘めると同時に、落とし穴もありそうだ。

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 前回はソニーが開発した「認証型コンセント」の仕組みについて解説した。ではこの認証型コンセントを使うと何ができるのだろうか。現在、開発済みの機能を、筆者が理解したところでまとめると、3つある。

  • 機能1 機器認証した相手にだけ、電気を流す
  • 機能2 どのコンセントに何の機器がつながったかが分かる
  • 機能3 どの機器が積算でどれぐらい電気を使ったかが分かる

 これらの機能は単体でも意味を持つが、組み合わせたアプリケーションも幾つか想定できる。今回はこれらの機能を応用すると何ができるのか、コンセントの未来像を考えてみたい。

電力供給の制御は分かりやすい

 機能1「機器認証した相手にだけ、電気を流す」は分かりやすい。多くのメディアが報道していた、機器ごとに電気料金を課金するというシステムが実現できる(図1)。FeliCaは課金に広く使われているので、イメージしやすい部分だろう。


図1 認証型コンセントを使った課金システムのイメージ 各コンセントから利用情報を課金管理システムに吸い上げる。出典:ソニー

 例えばどこかのカフェでスマートフォンを充電したい場合、コンセントにつなぐだけで決済が可能になる。ただ注意すべきは、コンセントごとに消費電力を勘案して、いわゆる量り売りのような形で電力を販売することはできないことだ。電力メーターを使ってWh(ワット時)単位で電気を販売するには、認証を通った電力メーターを使わなければならないからだ。認証型コンセント単体でできるのは、消費電力に関係なく電気を通すかどうか、あるいは何分電気を通すか、といったことだけである。使った量(消費電力量)は関係ない。

 さらに言うならば、スマートフォンを充電する程度の電力など、課金したとしても「10円」にもならない。これをいちいち集めるのか、という話である。Wi-Fi利用と一緒に課金すればよい、というアイデアもあるが、Wi-Fiの接続料など、カフェなどでは飲食代と込みになるべきである。

 ソニーが描く未来像には、電気自動車(EV)を充電スタンドで充電するときの課金、というイメージがある。しかしこのコンセプトの実現性は低いと思っている。なぜならば、車載バッテリー容量がまちまちなのに、前出のように量り売りができない現状で、使用電力量に関係なく一定時間で課金されるのでは、不公平だからだ。

 さらに今、EVは、無線充電(ワイヤレス給電)に向かって一斉に動き出している(関連記事:EVの爆発的な普及には何が必要? 「無線充電」だ)。EVの充電のためにコンセントを挿すという行為は、あと数年待たずに過去のものになるかもしれない*1)

*1) 無線充電を使った場合でも、ソニーの認証コンセント技術を組み込むことは可能だと思われるが、家庭用コンセントに組み込む場合と比べて実現のハードルが高くなる。

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