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ソニーが始めた「コンセントの革命」、自動改札や電子マネーを実現した技術を生かす小寺信良のEnergy Future(15)(1/4 ページ)

これまでは不可能だったコンセント単位の電力管理や認証ができるようになると、私たちの生活はどのように便利になるのか。今回はソニーが開発した「認証型コンセント」の仕組みを追いながら、コンセントが家電を「認識する」動きを見てみよう。

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ソニーが始めた「コンセントの革命」、自動改札や電子マネーを実現した技術を生かす

 2012年2月14日、ソニーはFeliCaの技術を応用した、「認証型コンセント」を開発し、記者発表会を開催した。具体的な製品ではなく、技術発表であったにもかかわらず、一般紙を含む多くのプレスが集まり、多数の記事が書かれた。電力に関する関心の高まりは、かなりのものであるとうかがえる。もちろんMONOistでも速報記事で紹介している。

 あいにく筆者は当日別件の取材があり、出席できなかったが、後日開発とプランニングを担当された方々に詳しい内容を確かめることができた(図1)。


図1  今回取材にご協力いただいた皆さん 左から主任研究員の和城賢典氏、プランニングマネージャの竹村和純氏、アカウントマネージャーの鈴木孝広氏、シニアビジネスプロデューサーの林邦也氏。

 余談だが発表当日はバレンタインデーということで、出席者にはコンセント型のチョコレートが女性広報からプレゼントされたそうである(図2)。筆者も遅ればせながらいただいたが、さすがにこれを記事にしたメディアはなかったようだ。


図2 発表会当日プレゼントされたコンセント型チョコレート FeliCa技術には非対応だ(非認証型)。

そもそもコンセントとは何だろう

 そもそも家庭用コンセントは、1930年ごろ、一般家庭に電灯線が普及した当時に誕生し、現在に至るまで80年以上、特に仕様が変わることもなく使われ続けている。

 当然筆者が産まれる前の話だが、それまで夜間の照明は「オイルランプ」であったわけだ。実家の母に聞けば、火を囲むガラス部分の火屋(ほや)を毎日磨くのが、昔の子どもの仕事であったという。

 そこから次第に家電製品が普及し、天井からつり下がっているコンセントも、二股、三股と増えていったそうだ*1)。昔のマンガなどでは、天井から炊飯器までコードが伸びている様子が描かれている。現在のように、壁にコンセントが埋め込まれるようになったのは、もっと後のことである。

*1) 家庭用コンセントが登場する以前、家電は電灯のソケットから電力を得ていた。1910年代以降に登場した国内最初期の家電の写真を見ると、白熱電球の末端にあるスクリュー状の端子が家電のケーブルにつながっている。参考:東芝が発売した日本初のアイロンの紹介(東芝)、パナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館に展示されているアタッチメントプラグやアイロン(パナソニック)

 現在のコンセントは、各家庭に引き込まれている電力線から電力メーターを通り、分電盤を経由して各部屋なりに分配された末端に付いている。造りによっては別途200V製品用の配線がされてあるところもあるが、基本的には家庭へ引き込まれている電力線を、単純に分配しているにすぎない。従って、どの部屋のコンセントが使われているか、あるいはどの機器が動いているか、さらに誰が使っているかといった情報は、目視確認以外に知るすべはない。

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