ソニーが始めた「コンセントの革命」、自動改札や電子マネーを実現した技術を生かす:小寺信良のEnergy Future(15)(2/4 ページ)
これまでは不可能だったコンセント単位の電力管理や認証ができるようになると、私たちの生活はどのように便利になるのか。今回はソニーが開発した「認証型コンセント」の仕組みを追いながら、コンセントが家電を「認識する」動きを見てみよう。
コンセントが「認証」するとは
ソニーが開発した認証型コンセントは、駅の自動改札などで課金に利用されているFeliCaカードの技術を応用したもの。壁のコンセント側にリーダー/ライターチップを内蔵し、機器のプラグ(突起が付いた差し込む部分)側にFeliCaのICチップを埋め込んでおき、どのコンセントにどの機器が接続されたか知ることができる。
それができて何がうれしいのか、これはアプリケーションの話なので、次回詳しく説明するとして、今回はまず仕組みの方から見ていこう。
交通カード、電子マネーでおなじみの技術を利用
ご存じのようにFeliCaは、非接触型の認証技術である。応用範囲を見ていくと、まず交通機関の課金を行うカード、例えば「Suica」「ICOCA」「SUGOCA」「PASMO」「nimoca」「はやかけん」など数多くの採用実績がある。これらは現在相互利用サービスが提供されているが、同じFeliCa方式だから可能になっているわけだ。
また電子マネー用カードの「Edy」「nanaco」「WAON」にも、さらに「ANAカード」で採用されているチケットレスチェックインなどにも使われている。「おサイフケータイ」の中身もそうだ。
駅の改札などでは「タッチ」して使うので接触しているではないか、と思われる方もいると思うが、実は駅の改札のリーダー/ライターは10cm程度の範囲を読み取っている。一方個人で買えるリーダー/ライターは2cm程度の範囲を読み取っているそうである。確実に認証させるために、改札では運用上、タッチする、ということになっている。
これと同じ方式を、コンセントに応用した。例えば、コンセントのフタ(カバー)部分にリーダー/ライターチップとアンテナを載せておき、プラグ側にはFeliCaチップを組み込んでおく。コンセントを挿そうとすると、この2つが近づくので、コンセント側はどの機器がつながったかが分かる、というわけだ(図3)。
コンセント側へはリーダー/ライターチップなどの埋め込み作業が必要になるので、コンセント交換などの電気工事は避けられない。対応機器側ももちろん、プラグに仕掛けを施さないといけないが、これはメーカーが製品製造時に取り付ければ済むことだ。
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