電源車が欲しい? では軽トラを改造しましょう:電気自動車
災害時にも電力が欲しい。東日本大震災から1年が経過した今、電力への備えが求められている。固定電源はもちろん、どこにでも移動できる「電源車」があれば便利だろう。EVhondaは、どこにでもある軽トラックや軽ワンボックスカーを電源車に改造するサービスを開始する。
ガソリン車を電気自動車(EV)に改造*1)するEVhondaは、2012年4月から、電源車として使える改造EVサービスに取り組む。車両が内蔵する二次電池を使うだけでなく、発電用の太陽電池も搭載したEVだ。車体の上にキャリア(荷台)を設置し、そこに太陽電池モジュールを2枚収納、利用時には1枚を引き出して広げ、電源車として使う(図1)*2)。EVへの改造費用は約150万円。これに太陽光発電システム関連の費用20万円が加わる。
*1) ガソリン車のボディーやフレーム、シートなどをそのまま生かしてEVに改造する手法。ガソリンエンジンやガソリンタンク、排ガス用触媒やパイプを除去して、電池やモーター、制御装置を追加する。
*2) 同社は電源車の第1号機を新潟コンベンションセンター「朱鷺メッセ」で開催される「EV・PHVサミット」(会期、2012年4月20〜21日)に出展する予定だ。
図1 太陽電池モジュールの搭載方法 利用時には2枚のうち1枚をボンネット側に引き出して展開する。引き出した太陽電池モジュールはポール状の部材で支える仕組みだ。太陽電池モジュールの重量は1枚10kg以上。「重量の問題が解決できれば、モジュールを3枚搭載することも可能だ」(EVhonda)。太陽電池モジュールの寸法は1580mm×808mm。出典:EVhonda
「自治体では非常用電源を備える動きがあり、電源車、つまり移動できる発電機としてのEVのニーズがあると考えている」(EVhonda)。同社は新潟県で事業を展開している。「農家では何台も自動車を所有している。軽トラックや軽ワンボックスカーの所有率も高い。こういった車はルーフが平らでEVの改造に適しており、複数ある車のうちの1台を電源車として使えるようにすることを訴求したい」(同社)。
どの程度使えるのか
改造EVが備える電池容量は4kWh。1充電当たり40〜50km走行できる。農作業などで使う軽トラックであれば十分な走行距離だ。
4kWhの二次電池があれば太陽電池は不要なのではないだろうか。「二次電池だけでもケータイなどの充電だけであれば10日間ぐらい使えるだろう。だが、使い切ってしまうとEVが移動できなくなる。そこで、ケータイなどの充電に必要な電力は、走行用とは別に太陽電池で賄う仕組みを考えた」(EVhonda)。太陽電池モジュールの出力は190W×2*3)。これをいったん二次電池に蓄え、インバーターを経由して交流100Vに変換する。家庭用のコンセントを備えているため、家電をそのまま接続できる。
*3) 太陽電池モジュールは、千葉県に立地するスマートプラスから調達するという。
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