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若手から「販売の数字なんていつも全然合ってないですよ」といわれる統括本部長S&OPプロセス導入 現場の本音とヒント(2)(2/2 ページ)

営業事業統括本部長のO氏は、四半期ごとのムダな会議に苦悩中。若手からもこんな数字なんて、といわれる始末。どうしてこうなった?

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現状プロセスでの課題

 ここで一度、頭を冷やして、現状のプロセスでの課題を整理してみよう。

  • 現状分析や意思決定に時間がかかってしまうことにより、製品ライフサイクルの短期化や企業を取り巻く変化のスピードに追い付くことができない
  • 事業計画で使用している数字(金額ベース)と製販調整会議で使用している数字(数量ベース)の相互の換算が困難である
  • 戦略(経営トップ)と基幹業務(現場)がつながっていない
  • 機能別組織間の責任のなすり付け合いによって、全体最適の志向になっていない
  • 計画の調整作業が各機能部署の担当者の経験と力量への依存が大きく、ナレッジの共有が十分ではない
  • グローバルでのバリューチェーンの機能が分断されているため、グローバルでの正確な情報をタイムリー入手することが難しい

現状の製販調整会議プロセスの問題点

S&OPプロセスは世界を救う?

 その日は会社帰りの駅に向かう途中にある一軒の小料理屋に入った。ここはお気に入りの店の1つで数カ月に1回立ち寄ることがある。今日のような日は立ち寄らずにはいられない気分だった。

 「今日みたいな日は、さ。ちょっとは飲まないとやっていけないよな」

 店に入ると、カウンターの奥に見覚えのある男の姿が見えた。工場で生産計画を担当しているSだ*。旧知の仲で、職場こそ同じになったことはないものの、お互いに考え方が似ている部分があるため、なんでも話せる気の合う相手である。


* Sさんについては第1回参照。


 「お、Sくんじゃないか、どうしてここに? 1人か?」

 「あっ。Oさん、ごぶさたしてます。今日は本社出張だったんで、夕食がてらにここに来たんですよ。Oさんこそどうしたんですか? 何だか機嫌悪そうな顔してますよ」

 「いやぁ、実はねぇ……」

 私は今日の出来事をSに打ち明けた。

 話を一通りじっと聞いたあと、Sは思い出したように「実は私もいまの製販調整会議が何とかならないものかって考えていたところなんです。ちょうどその件をOさんに相談しようと思っていたんですよ。少し調べてみたんですけど、どうも海外では『S&OPプロセス』という枠組みで問題を解決しているらしいんです」

 「なんだそれ?」

S&OPプロセスで期待できること

 その夜は大いに盛り上がり、終電時刻ギリギリまで飲んだものの、翌朝のO統括本部長の頭の中には“S&OPプロセス”という言葉だけは記憶に残っていた。

 出社して机に座ると、早速インターネットを使ってS&OPプロセスについて調べてみた。


S&OPプロセスで期待できそうな効果とは……

 「うむうむ、これはもしかしたら、うちの会社が抱えている問題を解決できるかもしれないな。」と独りごとをつぶやいたあと、なにかを思い出した。

 「S&OPか。そういえばどこかで聞いたことがあるような……」

 「そうだ、先日の同窓会で会ったPくんが、彼の会社で昨年導入した海外のプロセスがどうしたこうしたって自慢していたな。それがS&OPだったような。たしか名刺の裏にメモした覚えが……」

 名刺を取り出してみると、確かに酔った文字でS&OPと書いてある。「ようし、まずはあいつに話を聞いてみるか」と、名刺に書いてあったメールアドレス宛にO統括本部長はメールを書き始めた。(次回に続く)

編集部から

 O統括本部長は、無駄な会議にイライラしていますが、部下も同様に、ムダな数字を基にしたムダな会議にへきえきしているようです。結果として無意味な議論と言い訳、感情論しか出てこず、建設的な対策がまるでできていません。その理由の1つは、数字を出すのに時間がかかること。タイトな日程で正確な数字を出す仕組みがなければ、日々の数字に追われる現場ではとても対応できないのは自明のことです。同窓生Pさんの出したキーワードは救いの手になるのでしょうか? 次回はPさんがエッセンスをレクチャしてくれます。お楽しみに!


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