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品質管理者必須の統計的手法 層別、チェックシート、パレート図実践! IE:現場視点の品質管理(9)(1/3 ページ)

製造現場の品質管理に必須となる統計手法を筆者の経験則を交えて紹介。利用時の注意点や応用範囲も整理する。

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⇒前回(第8回)はこちら
⇒連載「実践! IE:現場視点の品質管理」バックナンバー

 今回から数回に分けて、多用される統計的手法について説明をしていきたいと思います。本連載の執筆に際して、統計的手法を使いこなせる人たちをできるだけ増やしていきたいという思いから、できる限り各手法が持っている意味や応用範囲、注意すべき点を挙げることで、一般論的な傾向が強いものとならないように配慮しました。

 ここで取り上げた手法は、日常的に使用していただきたいと考えるものが主です。実際に統計的手法を利用する立場にいる方々が、より深く理解して実行できるように心掛けました。

 「統計」は、実践的な科学であって決して単なる数学ではありません。これを形式的に読み進めていくのではなく、自分の直面している問題への適用を試み、いろいろと思考を重ねて何らかの方向や結果を見いだして、初めて身に付いていくものだと思います。

層別(Stratification)

 層別は、一言でいえば、問題の明確化を行うために、データを同じ条件や原因、特徴などで分けることをいいます。品質のバラツキは、幾つもの原因が重なりあって生じています。例えば、作業者の違い、材料の違い、治工具の違いなどです。これらは全てバラツキの原因になっています。たくさんの変動要因が重なってできた品物の集まりは、何かの特徴で幾つかの層に分けて調べなければ信頼性の高い情報は得られません。このように、さまざまな事柄を分かりやすくするために、何らかの性質別に分けることを層別といいます。

 層別は、データを同質のグループに分けて分析することですが、データを採取する際の重要な考え方でもあります。データを層別して分析することは、より正確な情報を得ることにつながり、問題の判別や原因追求に欠かせない有効な手段の1つともいえます。

 さらに興味のある方は、統計学における母集団から標本調査手法の1つでもある「層化抽出法(Stratified Sampling)」について勉強してみるのもいいと思います。その概要は次の通りです。

 母集団を同質なグループに分けることを"層化(Stratification)"といい、このグループ分けは、サンプリングの前に行われます。「層化抽出法」は、標本の誤差を減らし、サンプルの質を高めることができます。また、単純な無作為抽出で得られる算術平均よりも変動の少ない加重平均を生成することが可能となります。

層別の目的

 数多くのデータの中に異常なデータが出たとき、その製品がどの材料を用い、どの機械で、誰が、いつ、どのようにして作ったのかが分からなければ、異常の原因を知ることができません。従って、いつでもロット別にこれらのことが分かるようにしておくことが必要です。そのためには、ロット別に履歴がはっきり分かるようにしておかなければなりません。さらに、誰がサンプリングし、どのような方法で測定したかということまで明確にしておく必要があります。

層別の例

 品質問題を考えるなら、問題の発生しそうな状況別の層別を考える必要があります。一般的に、製造現場で得られるデータの層別の例としては次の項目が考えられます。データを分析するとき、または、データを採取しようとするときの参考にしてください。

 材料別、加工メーカー別、ロット別、機械別(機械の新旧別、メーカー別など)、測定器別や試験機別、作業者別(作業者、職場、シフト、時間など)、装置別、型治工具別、年月日・週・時間別、位置別、作業者経験年数別、男女別、ライン別、機種別、工程別など。

 ここでも、やはり問題や不良原因を見つける基本は、5M(材料:Material、機械:Machine、人:Man、方法:method、計測:Measurement)です。

 層別は、他の統計的手法を併用してこそ効果があります。層別したヒストグラム、層別した管理図などが効果的な手法の活用法です。

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