品質を「見える化」するために必要な統計思考とは:実践! IE:現場視点の品質管理(7)(1/2 ページ)
品質の状態を実証的・論理的・体系的に正しく把握するための基礎力を高めるにはどうしたらよいでしょうか? 今回は統計の考え方と可視化の効能をおさらいします。
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現場で品質状況の管理をしたり、何かの調査や測定の結果のまとめ方として、グラフなどによるデータの図示化は最も有効な方法です。また、図示化の目的は、現状の問題点の悪さ加減と、不具合の発生原因を明らかにすることですが、まとめ方(データの図示化)としては「統計的手法を用いて測定結果をまとめる」「過去の実績または標準値と測定結果を比較する」「測定値の不足や追加測定を決定する」などが、その要点となります。
昨今、「3現主義」の意味は知っていても、実際の行動面では事実観察(「現場」で「現物」を診断し、どのような状況にあるのかという「現実」を確認すること)も簡略に済ませ、あまり確かでない過去の経験や思い込みだけで場当たり的な判断や意思決定をしている例が多くあります。そのような行動を改め、原点に立ち返って、科学的(実証的・論理的・体系的)に考えて行動していく必要があります。
科学的に考えていく、とはどのようなことでしょうか。それには、まず「現場」「現実」を図示化して把握する必要があります。
図示化の効用
図示化の主な効用として、以下の項目が挙げられます。
(1)情報伝達力の向上
- 全体の姿が分かりやすく把握でき、科学的思考には欠かせない
- 図示化は、多数の人が興味を持てる共通の言葉である
- 誰にでも正しい理解が得られる(主観の排除)
(2)将来予測による不具合の未然回避
- 過去からの推移のデータや現状のデータを解析することで、将来を予測することが可能になる
- 結果的に先手管理により将来に起こり得る可能性のあった不具合を未然に回避できる
(3)問題解決への寄与(問題解決の糸口をつかむ)
- 大きさを比較して、違い(問題の悪さ加減や異常の有無など)を明確にする
- 構成の割合を比較して、重点の置き所をつかむ
- 問題と改善結果の度合いを時系列的に把握する
- 図示化は効率的な問題解決の手段である
(4)科学的思考の醸成
- 図示化は自分の発想を支援する
- 資料の信頼性が増す
- 科学的思考に基づく適切な意思決定:何事も数値化し、数字で物事を考える習慣付けができ、そして、全てのことに統計的品質管理(SQC:Statistical Quality Control)を活用することで、科学的思考に基づく適切な意思決定が可能となる
「現場」「現実」を把握し、思い付きや過去の経験に頼らない判断を促すためには、この図示化が非常に重要になります。図示化手法の詳細は本連載で詳述予定ですが、次ページからは、まず全体像を把握するために、統計的なものの考え方をおさらいしておきましょう。
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