スマートハウスの実現相次ぐ、トヨタが販売を開始、パナソニックは街ごと開発:スマートグリッド(2/2 ページ)
トヨタホームはEVや太陽光発電システム、家庭用蓄電池などをHEMSで一括管理できるスマートハウスの販売を始める。購入者は経済産業省の実証実験の一環として4年弱の実験に参加する。一方、パナソニックは実験を飛び越えてスマートタウンの開発に取り組む。
パナソニックは1000世帯を建設
官公庁主導のプロジェクトではなく、独自にスマートハウスを目指す動きも盛んだ。パナソニックは神奈川県藤沢市辻堂にある面積約19haの藤沢工場跡地に住宅約1000戸と商業・公共施設を含み、1000世帯3000人が入居する「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」構想を発表している。目標は、街全体のCO2排出量を1990年比で70%削減することだ。「その時々で最も適したエネルギー機器を取り入れることで、何十年も居住できる街作りを目指す」(パナソニック システム・設備事業推進本部で本部長を務める野呂輝久氏)。
パナソニックと藤沢市は、8社、すなわちアクセンチュアやオリックス、住友信託銀行、東京ガス、日本設計、パナホーム、三井物産、三井不動産と共同で事業を進め、2013年度の開業を予定している。総事業費は約600億円である。2018年までに全世帯の入居を目指す。
このプロジェクトでも、スマートハウスに必要な設備をあらかじめ設置する。「創エネ」設備として太陽光発電システムと、家庭用燃料電池、ヒートポンプ給湯器を全戸に設置する。「蓄エネ」設備は家庭用蓄電池を備える。「省エネ」のためにLED照明の他、消費電力の小さな家電を導入する。
パナソニック独自のHEMSとしてSEG(Smart Energy Gateway)を宅内に設置し、戸別のエネルギー需給バランスを取る他、非常時には最低限の必要エネルギーを自給自足できるようにする(図2)。
街全体のエネルギー最適化のために、電気自動車の充電インフラとソーラー駐輪場、電動自転車を置く。例えば、10戸〜20戸に1カ所EVなどのカーシェア用駐車場を設置するという(図3)。スマートタウン内での家屋相互の電力の売買については、現時点で法律上の制約があるものの、開業までにシステム化のメドを付けたいという。
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