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クローズドループ構造のいろいろメカメカリンクで設計しよう(2)(3/3 ページ)

第1回で登場した回転対偶やすべり対偶を組み合わせて、1自由度を持つ平面リンクに絞って詳しく解説する。

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不等長リンク(台形リンク)

【No.04】対向するリンクが不等長の場合 その1

 駆動リンクと対向する従動リンクの長さが異なり、かつ駆動リンクの方が短い場合を考えてみましょう。図7のアニメーションから、下記のことが分かります。

  • 駆動リンクの回転角度に対して、従動リンクの回転角度が小さい。
  • 駆動リンクの回転方向によっては、従動リンクが途中から反転するポイントがある。
  • 駆動リンクと従動リンクは、対称性を持って揺動しない。
対向するリンクが不等長の場合 その1
図7 対向するリンクが不等長の場合 その1

【No.05】対向するリンクが不等長の場合 その2

 駆動リンクと対向する従動リンクの長さが異なり、かつ駆動リンクの方が長い場合を考えてみましょう。図8のアニメーションから、下記のことが分かります。

  • 駆動リンクの回転角度に対して、従動リンクの回転角度が大きい。
  • 駆動リンクの回転方向によっては、わずかな動作角度にかかわらず中間リンクと従動リンクが突っ張り、動作できないポイントがある。
  • 駆動リンクと従動リンクは、対称性を持って揺動しない。
対向するリンクが不等長の場合 その2
図8 対向するリンクが不等長の場合 その2

 それぞれ対向するリンクの長さが異なることで、どちらを駆動リンクにするかによっても特徴が変化することがわかったと思います。それぞれ対向するリンクの長さが不等長である四節リンクを、別名、台形リンクとも呼びます。

 四節リンクを考案する場合の基本形状が、平行リンクです。設計実務では、この平行リンクをベースに、いずれかのリンクの長さを変更して台形リンクにすることで、目的にあった動作ができないかを模索することになります。

今回のまとめ

 今回解説した内容を整理しておきます。

  • 平行リンクを使えば、スライド機構を使わずに円弧運動を用いながら、駆動動作に対して対称性を持って平行移動できること。
  • 対向するリンクの長さを変えて台形リンクとすると、駆動動作に対して対称性のない任意の動作を実現できること。


 次回は、台形リンク機構をさらに応用してどんな動作が可能であるかを理解し、リンク機構設計の応用力をつけましょう。(次回に続く)

Profile

山田 学(やまだ まなぶ)

1963年生まれ。ラブノーツ代表取締役、技術士(機械部門)。カヤバ工業(現、KYB)自動車技術研究所で電動パワーステアリングの研究開発、グローリー工業(現、グローリー)設計部で銀行向け紙幣処理機の設計などに従事。兵庫県技能検定委員として技能検定(機械プラント製図)の検定試験運営、指導、採点にも携わる。2006年4月、技術者教育専門の六自由度技術士事務所を設立。2007年1月、ラブノーツを設立し、会社法人(株式会社)として技術者教育を行っている。著書に『図面って、どない描くねん!』『読んで調べる 設計製図リストブック』(共に日刊工業新聞社刊)など。



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