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原発事故から学ぶインタラクションギャップ甚さんの「想定内だぜぃ!トラブルは」(3)(1/3 ページ)

今回はちょっと難しい匠のワザを伝授。トラブル三兄弟だけでは潜在トラブルを引き出せない場合に活躍するのがインタラクションギャップだ。

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当連載の登場人物

甚

根川 甚八(ねがわ じんぱち)

根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん

良

国木田良太(くにきだ りょうた)

ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。80年代生のイマドキな若者。機構設計者。通称、良君


編集部注* 本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。


良泣

甚さぁ〜ん! 今回は難し過ぎますよ。僕には、「インタラクションギャップ」も「バラツキ」も頭に入りませんでした。基本形の「特性要因図」だけで十分ですよ。


甚

テンメェ、あの心意気はどうした? (『技術者としてできることは何か?』)やっぱ、口先だけか? まさか、オメェ、「頑張れ! 日本」って言っているんじゃねぇだろなぁ? 頑張るのはオメェだよ!


前回までのおさらい

 ここで、第1回2回の内容をまとめてみましょう。まず、甚さんが「想定内だぜぃ!トラブルは」と言い切るその根拠は、職人とは「匠のワザ(1)」と「匠のワザ(2)」を有する職種だからです。

匠のワザ(1):トラブル三兄弟

  1. トラブルの98%が、「トラブル三兄弟」に潜在する。
  2. 「何でもあり!」が大好きな日本人技術は、次男の「トレードオフ君」を理解しにくい。
  3. 三兄弟のうち、最重要者は三男の「××(ぺけぺけ)変更」である。
  4. 初心者は、変更君から潜在トラブルを引き出すのがコツである。
  5. 引き出した瞬間、トラブルは「想定内」となる。
良

前回も言いましたけど……、僕は、「トレードオフ」を完璧にマスターしましたよ。


甚

うれしいこと言ってくれるじゃねぇかい。あん? さすが、富士山麓大学の院卒だぁ。いつまでたっても、図面も描けねぇ、読めねぇ院卒かと思っていたけどよぉ、見直してやらあなぁ。


インタラクションギャップとは

 技術が進化すると、「トラブル三兄弟」だけでは潜在トラブルを引き出せない場合が出現します。このとき、職人もスキルアップして進化しなくてはなりません。それが、次に解説する「インタラクションギャップ」です。

匠のワザ(2)「インタラクションギャップ」

  1. 1つ1つの要因そのものが原因の1つと考えるのが図1、つまり、特性要因図の基本である。しかし、初歩的知識である。
  2. 一方、職人は、「バラツキ」を特性要因図で表現する。
図1
図1 ××変更に関する特性要因図とインタラクションギャップ(出典『ついてきなぁ! 失われた「匠のワザ」で設計トラブルを撲滅する』日刊工業新聞社刊)
良

甚さん! 前回は、ここからつまずきました。「バラツキ」という日常用語がますます、理解を困難にしていますよ。


甚

そんじゃよぉ、福島第一原発(原子力発電所)の例で説明しようじゃねぇかい。耳の穴かっぽじってよぉ、よ〜く聞きやがれってんだ。


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