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世界のエネルギーの77%を太陽光や風力で供給可能、IPCCが発表スマートグリッド(2/2 ページ)

再生可能エネルギーは出力が小さく、火力や原子力とは比較にならないという意見を持つ人は多い。だが、IPCCの評価によると、省エネと政策の後押しが組み合わされば、2050年時点の全エネルギー供給の8割弱を支えることができるという。

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既に新設発電所の5割弱は再生可能エネルギー型

 報告書では政策担当者に向けた指針を示した他、6種類の再生可能エネルギーごとにエネルギー源としての特長と将来の予想を示した。

 政策担当者に向けては既に再生可能エネルギーの普及が大きな潮流になっている事実を突きつけている。例えば、2008年から2009年にかけて、合計出力300GWの発電所が増設されたが、うち、140GWは火力や原子力を含まない再生可能エネルギーだ。2009年には系統に接続された太陽光発電が50%増加した他、風力発電は30%、太陽熱発電は20%増加している。技術的に実現可能な再生可能エネルギーの量は、2009年末時点の総エネルギー需要を全量まかなうことができる。

 再生可能エネルギーの可能性は発展途上国で高く、全世界の再生可能エネルギー源の50%が発展途上国にあるという。これは石油やウラン鉱石の埋蔵分布が極端に偏っていることと比べて大きな利点だ。

 4つのシナリオによれば、再生可能エネルギーに対する総投資額は、今後10年間で1兆3600億米ドルから5兆1000億米ドルに達する。下限の値の場合、投資水準は2009年よりも低くなる(すなわち下限となる可能性は低い)。

バイオ燃料、太陽光と太陽熱、風力が有望

 報告書では6種類の再生可能エネルギーそれぞれに対して、技術的な特性と2050年の見通しを示した。

  • バイオ燃料

 電力以外に、たやすく熱源として使えることが最大の特長だ。植物由来のアルコールや炭化水素として使う他、木質のまま利用できる。既存の化石燃料と似た使い方ができる唯一の再生可能エネルギー源だ。木質を液体燃料に転換したとしても、エネルギーはあまり無駄にならず、80〜90%のCO2を削減できる。以上のような特性から、バイオ燃料は先進国ではなく、発展途上国で調理に使ったり、熱源として利用するのがよいことが分かる。2009年末時点でも全世界のエネルギー供給量の10%(50EJ)を占めており、2050年時点では年間100EJ〜300EJをバイオ燃料が占めると予想した。

  • 太陽光と太陽熱

 電力源として優れている。熱源や光源としても使いやすい。2009年末時点では全世界のエネルギー供給量の1%を占めるにすぎないが、潜在的な能力は高い。継続的な技術開発と低コスト化の努力を続けていけば、再生可能エネルギー源として最も魅力的になり得るという。最も楽観的なシナリオでは2050年時点で年間130EJのエネルギーを供給できる。このシナリオでは太陽光発電の伸びが大きい。複数のシナリオで、総電力の1/3を太陽光と太陽熱が担う。ただし、最悪シナリオでは総電力の1/10だ。

  • 地熱

 2009年末時点の発電量は0.7EJと小さい。2050年時点では総電力の3%、総熱源の5%を占めると予想した。技術的に入手可能な年間地熱エネルギーは巨大であり、2008年の年間供給エネルギーに匹敵する。しかしながら、全てのシナリオで技術的に入手可能な量を大きく下回った。

  • 水力

 小規模なものから、非常に大規模なものまで、スケーラブルであることが特長。2008年時点で全エネルギーの16%を担っており、再生可能エネルギー源として、現時点では最大だ。ただし伸びしろがあまりないため、シナリオにもよるが、2050年時点では比率が10〜14%に下がってしまう。

  • 海洋

 海水の運動エネルギーを利用する方式から熱エネルギー利用、化学的エネルギー利用までさまざまな方式が考えられるが、現在はほぼ全てが研究開発段階にある。このため、2020年までは総供給に占める割合は微々たるものだろうと報告書では指摘している。将来性はあるものの、2050年の予想出力は最大7EJだ。

  • 風力

 再生可能エネルギー源、特に電力源として2番目に有望だが、2009年末時点では世界の電力需要の2%を賄うにすぎない。地域的な分布に偏りがあり、欧州と北米での伸びが著しく、中国とインドで普及の芽が出てきたと報告書ではまとめている。2050年時点の総エネルギー供給の20%以上を占めると予想されている。


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