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効率のよいバイオ燃料を求めて、「木力発電」を群馬県で開始スマートグリッド(1/2 ページ)

オリックスと東京ガスは、群馬県に「吾妻木質バイオマス発電所」を立ち上げた。木質バイオマスは、隠れた再生可能エネルギー源だ。メガソーラー以上の出力を備え、定常運転が可能だ。

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 再生可能エネルギーの比重は今後、ますます高まっていく。これは間違いがないことだ。現在最も規模が大きな大規模水力は意外にも伸びしろがない。成長率が高いエネルギー源は2つある。2050年時点で総エネルギー供給の3割を占めると予想されている太陽光や太陽熱、同じく2割を占めると予想されている風力*1)だ。

*1)気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による報告書「Special Report on Renewable Energy Sources and Climate Change Mitigation(SRREN)」

 太陽光や風力以上に成長する可能性がある再生可能エネルギーが1つある。何だろうか。

 バイオ燃料だ。植物由来のアルコールを液体燃料に使い、木質(繊維)を固体燃料として使う。アルコール燃料(アルコール添加燃料)の利用はブラジルや米カリフォルニア州で進んでおり、固体燃料は古代からの伝統的な利用方法を大幅に改善する形で技術開発が続いている。

 バイオ燃料の普及で重要なのは、食料や建材などとして有用な植物資源を犠牲にしないことだ。食料生産が減ってしまってはエネルギー問題が解決しても本末転倒である。森林を伐採しつくし、はげ山を作り上げても仕方がない。

木質バイオマス発電はメガソーラーよりも大出力

 日本は国土の6割が森林に覆われているため、木質資源には事欠かない。そこで、他の用途に利用できない木質を使う「木質バイオマス発電」に期待が掛かる。木質チップをボイラー内で燃焼し、蒸気を作り出してタービンを回す、一種の火力発電所だ。

 国内最大の木質バイオマス発電所は、2011年2月に営業運転を開始した「川崎バイオマス発電所」(川崎市)。3万3000kW(33MW)という出力は、国内最大のメガソーラー「堺太陽光発電所」(出力10MW)の3倍以上の規模に相当する。これに「神之池バイオエネルギー発電所」(茨城県神栖市、2万1000kW)が続く*2)

*2)川崎、神栖、吾妻とも木質チップのみを使う発電所としての順位。例えば、製紙過程で生じる廃棄物(ペーパースラッジ)に木質チップを加えて燃焼させる発電所が併設されている製紙工場には、川崎バイオマス発電所よりも出力が大きいものもある。

 2011年10月5日には、国内3番目の規模となる「吾妻木質バイオマス発電所」(群馬県吾妻町)が開所した(図1)。同発電所を例に取り、木質バイオマス発電所にはどのような利点があるのかを紹介しよう。

吾妻木質バイオマス発電所
図1 吾妻木質バイオマス発電所 2008年8月に建設を開始し、2011年10月に開所式を開催した。オリックスと東京ガスが全額出資する吾妻バイオパワーが運営する。敷地面積は2万5000m2。出典:オリックス

 同発電所は榛名山から北東に向かった山すその端、関東平野から周囲の山々に、利根川の支流吾妻川が入り込んだ所に位置する。これは燃料となる木質チップを群馬県内や近隣県の木質チップ業者から数十社から購入して使うためだ。

 出力は1万3600kW。年間送電量は、8500万kWhを予定しており、住宅2万4000戸分に相当するという。「発電した電力は特定規模電気事業者(PPS)を経由して供給する。PPSは2社、すなわちオリックス*3)と、東京ガスなどが出資するエネットである」(オリックス)。

*3)同社はPPS以外にもエネルギー関連事業を進めている。法人向け太陽光発電システムの販売や、太陽光発電システムをHEMS(Home Energy Management System)と組み合わせて家庭に設置する横浜市の横浜グリーンパワー(YGP)モデル事業への参加である。

 吾妻木質バイオマス発電所は、24時間365日、定常運転を行う。原子力発電や貯水池を作らず川の自然な流れを利用する小規模水力(流れ込み式)などと同様、いわゆるベース供給力に相当する発電所だ。

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