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自由度と、リンク機構の基本のいろいろ:メカメカリンクで設計しよう(1)(3/3 ページ)
今回は4節リンクのうち、2次元動作について解説する。「自由度」や「対偶」についてあらためて確認していく。
「対偶」って、何だろう?
対偶とは、構成するリンク機構のうち、対となる2つのリンクが相対的な運動の自由度を残して結合したものをいいます。リンク機構を構成する上で、基本となる対偶の種類は次の6つです。
- 回転対偶(自由度=1) 例:チョウバン、転がり軸受けなど
- すべり対偶(自由度=1) 例:ガイド溝、リニアガイドなど
- 回転+すべり対偶(自由度=2) 例:ボールブッシュなど
- ねじ対偶(自由度=1) 例:ねじ機構、ボールねじなど
- 球対偶(自由度=2 or 3) 例:ボールジョイントなど(ジョイント部でねじり回転できる場合は自由度3)
- 移動対偶(自由度=2 or 3) 例:ドラフター、広域ワイパー機構など(平面上で回転できる場合は自由度3)
上記6種類の対偶を組み合わせてリンク機構の構成を考えて組み合わせることで、オリジナルのリンク機構を創造することができるのです。
次回は、基本的なリンク機構の種類を理解し、リンクの長さを変えるだけで違った動作ができるという四節リンク機構の特徴を知りましょう。(次回に続く)
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