3現観察法で不良原因の見える化を目指そう:品質改善の王道を行こう(3)(3/3 ページ)
モノづくり現場で発生している品質不良を改善し、不良率半減を目指そう。品質改善のツールはあくまでもツールであって、それに振り回されてはいけない。本連載は品質改善コンサルタントによる品質改善の王道を解説する。
Aさん 「長手方向に規則的に割れているぞ」
Bさん 「なんでこのような現象が起こるのだろう?」
Cさん 「肉厚が長期的に波打っているんですね。波打ちが起きるような、製造条件は何だろう」
ということで、作業長も交えて、プロジェクトメンバーで議論した結果、新たに波打ちをする現象を製造現場で見つけて(未知の要因を見つけて)、対策を打ったところ、慢性不良を撲滅することができました。
事例はここまでです。もちろん、改善までには紆余曲折があり、かなり時間がかかりましたが、終わってみれば「何だ、そんなことだったのか!」という問題でした。
こういった事例を自社の場合にそのまま当てはめることはできませんが、品質改善のポイントは普遍です。すなわち、
3現観察法により、不良の見える化をした
ということに尽きます。良品と不良品を目で見えるように工夫し、慢性不良がどういう状態になっているか、正確につかんだのです。あやふやな情報を基にすると、改善の方向性を誤ってしまいます。正確な情報を糸口に改善策を考え、未知の要因を見つけるのが品質改善の王道です。
不良の見える化の視点は、3つあります。
- リアルタイムに:不良が発生したらすぐ分かる
- 細分化して:断面を見る。顕微鏡で拡大して見る。不良部の成分を測定する
- より極端に:形状を3次元で測定する
上記3つの視点をすべて行うということではありません。要は、現在の測定方法よりもっと精度よく、正しく実態を表す測定方法がないか、3現観察法を行い、プロジェクトでよく検討することです。
不良の見える化には、測定技術が必要です。先ほどの事例では超音波測定器が自社にありましたが、もし超音波測定器が自社にない場合、計測器を選定して、実際に測定できるか確認して、購入しなければなりません。
費用が掛かるとなると上司の了解が必要ですが、測定器を買ったからといって、慢性不良が改善できる保証はありません。投資対効果の分からない費用は出せないといわれてしまうと、とても困るのです。理解がある上司であれば、問題ありませんが、理解されないと上司をいかに説得するかが、プロジェクトリーダーの力の見せどころになります。
以前参加したプロジェクトでは、不良の見える化に必要な測定装置(数百万円)を先読みしてプロジェクトスタートと同時に用意してくれたことがありました。とても驚いたのと同時に、理解力のある幹部がいたのでうれしく思いました。その測定装置が品質改善にとても力を発揮したのはいうまでもありません。
◇
慢性不良の状態を詳細に分析することはとても重要です。そのために3現観察法による不良の見える化が、最もパワフルな力を発揮します。しかし、不良の見える化がうまくできないこともあります。次回は、要因解析の2番手であるデータ分析です。
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