世界で通用する技術者を育てる学生フォーミュラ:今年も、全日本 学生フォーミュラ大会を開催
全日本学生フォーミュラ大会は今年も、静岡県袋井市内のエコパで開催する。開催日は2009年9月9〜12日の4日間だ。
自動車技術会は2009年7月24日、全日本学生フォーミュラ大会に関する記者説明会を行った。同大会は今年も、静岡県袋井市内の小笠山総合運動公園(通称「エコパ」)にて開催する。開催日は2009年9月9〜12日の4日間。
“フォーミュラ”といっても、F1のようにカーレースでスピードを競うことがメインの大会ではない。走行のほかにも、学生自らが行う企画、設計、製作とすべての過程を評価していく。学生たちは大会に向けて約1年かけて車両の準備を行う。本大会の詳細については、2008年度大会の記事シリーズ「第6回全日本 学生フォーミュラ大会 レポート」をご覧いただきたい。
大会出場にあたり事前に書類選考を設けている。今年は80チームのエントリーがあったうち、66チームが選考通過となった。選考を通らなかったチームは、残念ながら大会に出場することができないが、大会期間中に行うフォローアッププログラムで指導を受けられる。
毎年、海外からのエントリーも数件だがある。今年はドイツから初めてのエントリーがあったが、残念ながら書類審査前に辞退となったそうだ。
なお選考を通過した66チームはリンク先(PDF)のとおりとなっている。中国やイランなど海外チームも数件含まれている。
書類選考を通過した後は、さらに厳しい大会本番が待っている。特に、同大会の車検基準は厳しく、しかもそこを通過しなければコースで走行することが許可されない。走行にたどり着かないチームも当然出てくる。それにコースで走行ができても、完走できないチームもある。
大会のレギュレーション(規定)は大きな変更はないそうだが、ドライバーの脱出口やその足元についての規定をより広く設定したりなど、安全に対してより厳しい方向に変更をした。昨年、MONOistでもお伝えしたが、同大会では火災などの事故が発生することもある。万が一の事態の場合、ドライバーが速やかに車両から脱出できるようレギュレーション面で配慮し、大会当日もスタッフや開催地の消防団員などもフォローする。
コストレポートの算出ルールについては、今年より大幅に変更になった。昨年までは、車両製作費に上限(車両コストで300万円前後まで)があったが、今年からはこれを撤廃した。いまや車両部品の電子化が進んでいる現状だが、「電子部品を積んだ場合、コスト面で不利になること」が主な事情。それから実際のメーカーで一般的に使用されているものにほぼ準じたコストテーブルがチームに提供され、それを基に車両コスト算出をするようにした。この経験が、参加する学生たちが将来メーカーに就職した際に役に立つだろうという目論見もある。学生から提出されるコストレポートは1000ページ以上に及ぶという。
今年は電気自動車(EV車)のテスト走行が行われる予定とのこと。世の中に合わせ、同大会の車両もやがてはガソリンエンジンではなくなるだろう将来を見据えての試みだ。
本日の記者発表会では、東京大学、名城大学、ホンダテクニカルカレッジ関東の3校のフォーミュラチームメンバーが参加校を代表してスピーチを行い、大会への意気込みをアピールした。
やはりそこでも話題になったのは、同大会の優勝常連校(3年連続優勝)である上智大学。「上智は高い壁ですね」という名城大学とホンダテクニカルカレッジ関東のチームメンバーたち。ただ、昨年上智大学と優勝を争いデッドヒートした東京大学は「今年は勝つ自信あります!」ときっぱり豪語。果たして、今年は上智の連勝記録を食い止められるのだろうか!?
「英国のフォーミュラ大会のレベルは非常に高く、上智大学でさえも歯が立ちません。ただ、米国のフォーミュラ大会のレベルになら、日本の学校もだんだん追いついてきています。この大会に参加する人たちも、ぜひ世界と戦えることを目指してほしい。そして世界で戦える技術者がどんどん育っていけば嬉しい」(フォーミュラ実行委員会 広報 中村 博氏)。
8月下旬公開予定の「全日本 学生フォーミュラ」特集でも大会ルールの詳細、関係者や参加者へのインタビューなどを紹介していく予定なのでご期待あれ!
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