目指せ総合優勝! UTFFの4日間:第5回 全日本 学生フォーミュラ大会 レポート(2)(3/3 ページ)
東京大学のフォーミュラチームのリーダー自らが、大会出場の体験記をつづった。ものづくりの成果から起こる感動。
【3日目】9月14日、いよいよエンデュランス
この日は、競技のハイライトともいえる「エンデュランス」が行なわれました。エンデュランスは定められたコースを規定周回したタイムを競う競技で、総得点の3割以上が割当てられています。マシンのスピードだけでなく、信頼性も要求される、まさにマシンの真価が問われる競技といえます。エンデュランスはオートクロスの成績順に走行します。事前にプラクティスで練習走行を行い、準備は万端です。出走を待つ間、上位校は次々と好タイムを記録していきます。
そしていよいよ、UTFFが出走しましたが、すぐにエンジンの音がおかしいことに気付いて、エンジンにトラブルを抱えていることが分かりました。でも、一旦走り出してしまえば、もうドライバーにまかせるしかありません。 メンバー一同は、他のカ所にトラブルが出てリタイアすることがないように、祈るような気持ちで走行するマシンを見守っていました。
幸い、マシンはトラブルを抱えながらも無事完走することができました。エンジントラブルのせいで、出力がだいぶスポイルされてしまっていた状態で、タイムも伸び悩みましたが、普段の走行練習の成果で、 ドライバーが臨機応変に対応してくれたこともあり、 エンデュランスでは5位に着くことができました(マシンさえ万全だったら、ひょっとして……)。
さて、総合結果は!? ――9月15日、表彰式
各競技ではどれも3位以内には入れなかったものの、総合4位に入賞できました。
- 1位 上智大学 885.48
- 2位 国士舘大学 849.40
- 3位 金沢大学 765.96
- 4位 東京大学 742.76
- 5位 芝浦工業大学 734.68
(大会公式ホームページより抜粋)
エンデュランスではトラブルを出してしまい、本来の走行ができませんでした。それでも、総合4位と強さを発揮することができたのは、マシンを含めチームの総合力が着実に伸びている証であると 感じています。
しかし、1位の上智大学との点差を見ながら、「まだまだ開発すべき点がたくさん残っているなぁ……」と思いつつ、今後の課題などを痛感しました。
手の届くところまで見えてきた総合優勝という夢を今度こそ実現すべく、チーム一同はすでに、来年度のマシンに向けて動き出しています。
これからも、学生フォーミュラの魅力を後輩たちに伝えていきます
私はこれまで4年間、この学生フォーミュラにかかわってきましたが、活動を続ける中で、技術的な知識だけでなく、プロジェクトの進め方、目標設定や達成方法、そして人と人とのコミュニケーションなど、非常に多くのことを学ぶことができたと感じています。
またこの学生フォーミュラは、多くの企業やメーカーさんの協力により成り立っています。普通に学生生活を送っていても、企業の方々とお話できることはあまりありません。このような機会を持てることも大きな魅力であるし、そこから多くのことを学ばせていただいています。
まだこれから大学院の2年間も参加していくつもりですが、さらに多くのことを学んでいき、そして多くの後輩に学生フォーミュラの魅力を伝えていくように努めたいと思います。
将来の進路を決めるにあたって、私の中では、学生フォーミュラが非常に大きな部分を占めています。私の4年間のフォーミュラの活動では「エンジン・電子制御」パートのメンバーとして エンジン馬力の向上 などの技術課題の解決に 打ち込んできました。 ターボチャージャの搭載やCVTの変速プログラミングでは、数え切れないほどのトラブルに見舞われましたが、それらを解決したときの喜びは、ほかの何ものにも代え難いと思いました。
エンジンというのは非常に気分屋ですが、私にとってはこの上なく興味をひかれるメカニズムです。なかでも、最近授業で習ったジェットエンジンに大変興味をひかれており、将来はジェットエンジンの設計をしている企業へ就職して、UTFFで培った経験を生かしていきたいと考えています。
第3回は、第5回大会で優勝した上智大学のフォーミュラチーム「Sophia Racing」さんに突撃インタビュー!(次回に続く)
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