目指せ総合優勝! UTFFの4日間:第5回 全日本 学生フォーミュラ大会 レポート(2)(2/3 ページ)
東京大学のフォーミュラチームのリーダー自らが、大会出場の体験記をつづった。ものづくりの成果から起こる感動。
第5回大会が始まった!
今年で5回目の参加となる第5回大会(UTFFは1回目から参加しています)に臨むに当たり、現実的目標となりつつある優勝に向けてチーム一丸となって努力してきました。
マシンは3月中旬にはシェイクダウン(*マシン完成)を終え、テスト走行を繰り返し、セッティングを合わせるとともに、各部の改良を重ねてきました。
大会準備には、マシンの調整や整備ももちろんですが、静的審査と呼ばれるプレゼンテーション、デザイン、コストの各審査の発表用ボードや原稿の準備、練習、さらには万が一大会中にマシンの一部が破損した際に備えて、予備パーツも準備します。そんなこんなで、会場に持ち込みものだけでも、マシンも含めて2tトラックが2台ほど必要となりました!
いままでの経験も踏まえ、あらかじめマニュアルを作成するなどの対策をしていたため、今回の大会ではスムーズに準備を進めることができました。
【1日目】9月12日
大会初日には、「静的審査」といわれる「プレゼンテーション」「デザイン」「コスト」の3審査と、車検がありました。
車検は技術車検、「チルト」「騒音」「ブレーキ」の3つの審査があり、大会レギュレーションに車両が適合しているかが厳格にチェックされます。
この審査を通らないと、翌日から始まる「動的審査」で走行することができないので、大変重要な過程といえます。例えば、初参加校だと、車検が大会期間中に通らないといったこともあります。また初参加でなくとも、車検が通るのが遅れ、動的審査の一部に間に合わないといったことが毎年のようにあるのです。
私たちは午前中に「コスト・デザイン審査」を済ませました。「コスト審査」では車両を前にして、コスト削減に向けて努力した点などの討論が行われ、事前に準備したボードを用いて説明を行いました。デザイン審査では、「フレーム」「サスペンション」「エンジン」の3グループに分かれ、車両の設計方法などの説明を行いました。この審査での目標は5位以内入賞でしたが、後日分かった結果は8位と、予想していたほどに振るわずに残念でした。
午後には「プレゼンテーション審査」、そして「車検」に臨みました。
プレゼンテーション審査は、昨年度の反省を生かし「車両の速さを前面に打ち出す」プレゼンテーションで臨みました。そのかいがあってか、後日分かったプレゼンテーション審査の結果は6位と、よい成績を残すことができたと思っています。
車検は上記のプレゼンテーション審査と並行して臨みました。大会前にレギュレーションに適合しているかについて万全のチェックをしたはずでした。しかし、ドライバーの足がフレームから出ていたので、「安全上問題がある」という指摘を受けてしまい、フレームに溶接の補修が必要となってしまいました。まだ最初の車検なのに、手間の掛かる溶接作業が入るとは致命的です。
万が一のことを考えて持ってきておいた鉄パイプを切り出し、溶接を行いました。結局、修理はその日中に済んだものの、再車検を受ける時間は残っておらず、車検は翌日に持ち越しとなってしまいました……。
【2日目】9月13日
動的審査が開催され、午前中にはアクセラレーションとスキッドパッドが、午後には「オートクロス」が行われました。この日の朝、午後から雨が降るという予報が出ていましたが、幸い曇りだったので、天候に関しては問題なく審査が開催されました。
車検を通らないことには動的審査で走行することができませんから、まずは「とにかく一刻でも早く再車検を通すこと」に全力を注ぎました。
早く車検を通すため、私たちは朝2時ごろに起床し、会場に向かいました。そのおかげで、車検待ちの列では、前から2番目になりました。2回目の技術車検では、前日指摘されなかった点(チェーンのテンションが強すぎるとのこと)を指摘されるなど冷や汗をかきましたが、何とか合格することができました。その後チルト、騒音を順調にクリアし、ブレーキ試験も2回目で合格、無事に車検をすべて終えることができました。
10時半には何とか車検をすべてクリアすることができましたが、アクセラレーションとスキッドパッドは11時半でコースクローズしてしまうので、ギリギリセーフです! 私たちは、急いで動的審査エリアへ向かいました。
動的審査では、2人のドライバーがそれぞれ2回ずつトライできます。まずは1人目のドライバーが乗り込み、スキッドパッド、アクセラレーションを行いました。このときのドライバーは、大会のコースで実際に走行するのが初めてだったのですが、冷静に運転をこなしてくれました。
スキッドパッドのタイムは5.4秒と、まずまずでした。その後のアクセラレーションでは、今年度のコンセプトである軽量化とターボチャージャの開発による出力向上が功を奏し、4.5秒と“UTFF史上最高の成績”を残すことができました。
その後2人目のドライバーに交代したところで、タイムアップ。結局、1人しかタイムを残せませんでしたが、両競技とも納得できる成績を残すことができたと思います。
午後にはオートクロスが 行われました。オートクロスは車両の総合性能が競われるとても重要な競技であり、ドライバーも気合を入れて臨みました。一発本番でタイムが伸び悩むチームもあるなか、UTFF08は7位という好位置に着くことができました。
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