国産クレーンゲーム「クラウン603」が60年ぶりに復活 当時のタイトーの技術とは:イノベーションのレシピ(2/2 ページ)
タイトーは、タイトーステーションなどを支える技術部隊「TAITO TECH(タイトーテック)」の取り組みと、同組織が修理を行い、60年ぶりに復活した国産クレーンゲーム「クラウン603」を披露した。
タイトーステーションを支える技術部隊の強さとは
タイトーテックの母体となるタイトーの技術サービス部は全国各地に拠点を構えて、全国に展開しているアミューズメント施設を支えている。日々のメンテナンスや修理対応で培ったノウハウを生かして、さまざまな問題解決や品質向上につなげており、幅広い技術対応力を持っていることが大きな特長だ。
鈴木氏は「タイトーは過去にも銭湯から依頼を受けてインベーダーゲームを修理している。単に部品を交換するだけではなく、当時の資料や部品がなく、過去に触った経験者が少ない状況でも電源基板や回路構造を1つずつ読み解き、仮説検証を繰り返して、再び遊べる状態にまで復旧させている」と語る。単に直せるかどうかではなく、「どうすれば顧客に使い続けてもらえるか」という視点を重視してサービスを展開しているのが、大きな強みとなる。
また、技術サービス部では個人の経験や知識を組織全体で共有し、全国で均一なサービスを提供できるように技術共有/継承の部分に力を入れている。現在は主に3つの教育体制を用意している。
1つ目は「レベル認定制度」だ。同制度では技術者個々の成長を見える化し、次に取り組むべき課題を明確にしている。現在はレベル1とレベル2の2段階で運用しているが、さらに高度な技術力を認定するレベル3の運用も2026年度内に開始予定である。
2つ目は「実機講習」だ。マニュアルを読むだけではなく、異音や振動といった微妙な違和感を現場の実機を通じて、判断/特定できるようにするため、ベテラン作業者が持つ知見や感覚を伝承している。
3つ目は「TSC技術情報交換会」だ。タイトーでは全国の技術者をオンラインでつなぎ、故障事例や改善事例、新機種の情報などを共有することで技術者の孤立を防ぎ、困った場合に誰かに相談できるような環境を構築している。鈴木氏は「これらの取り組みの目的は『技術を個人の財産で終わらせない』ことである。私自身も入社後に先輩や現場を通じてさまざまな技術を身に付けてきた。私たちが受け継いできた技術を次の世代に継承し、顧客の『楽しい』を支えていく」と強調する。
ユーザーの安全を守る タイトーの品質保証とは
説明会ではAM機器の品質を担保している品質保証課の取り組みを紹介した。タイトーでは「安全性試験」「信頼性試験」「検討/確認会」「導入評価」の4つの側面で、AM機器の品質を作り込んでいる。
タイトーでは量産時品質のバラツキを考慮し、電気用品安全法の安全要求よりも厳しい社内基準とマージンを設定して試験を実施しているという。タイトー TECH本部 品質保証課 課長の坂下大介氏は「試験の具体例としては、感電や漏電リスクを調べる『絶縁性能試験』や静電気などの影響を調べる『静電ノイズ試験』などがある。また、『指の挟みこみ確認』では、景品取り出し口のシャッターなどに子供用や大人用の「試験指」を用いて隙間を厳密に測定している。過去に他社機体においてコイン返却口のシャッターで幼児が指先を切断するという痛ましい事故があったこともあり、業界的にも非常に慎重に確認を行っている」と強調する。
他にも耐久試験では、プレイ動作を再現する専用治具を製作して規定回数の負荷試験を実施している。治具化が難しい場合には、人力でローテーションを組みながら試験を行った実例も存在しているという。さらに、筐体の隙間から製品を不正に入手できないかを確認する外観検査も実施している。タイトーはこれらの試験により、さまざまな事故や不具合を未然に防いでいる。
また近年は、AM機器にとどまらず、新業態の施設の安全性確保に取り組んでいるという。坂下氏は「新業態導入当初は遊具に関する評価知見が無かったため、日本公園施設業協会の基準や欧州の規格を参考にして、独自の安全基準を策定した。われわれの品質保証の要点は『安全性の確認』『リスクの排除』『新業態に適応する品質基準の更新』の3点である」と述べた。
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