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矢崎総業が直面したAI活用の壁、オラクルの「Fusion」採用が必然となった理由:製造IT導入事例(2/3 ページ)

日本オラクルのAI関連イベント「Oracle AI Forum」のオープニング基調講演では、同社の三澤智光氏が提示した「AIを使って何を目指すのか」をテーマに、矢崎総業 執行役員 AI・デジタル室 室長 情報システム統括室 室長の丹下博氏がゲストとして登壇し、同社の事例を紹介した。

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個人単位でのAI活用が進む矢崎総業、エンタープライズでの効果は見えず

 そして、AI活用とデータ基盤の高度化に向けて、新たにFusionの採用を決めたのがワイヤハーネス大手の矢崎総業である。

 自動車部品の中で最も重くて最も高価といわれているワイヤハーネスだが、世界のクルマの3台に1台は矢崎総業の製品が使われているという。1962年の海外進出以降はグローバルに事業展開を拡大しており、46の国/地域で約22万人の従業員が働いている。2026年6月期の売上高は2.9兆円で、3兆円に迫る状況だ。

矢崎総業の事業概要
矢崎総業の事業概要[クリックで拡大] 出所:矢崎総業

 矢崎総業でDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進役を担う丹下氏は「工場での自動化が進む昨今だが、ワイヤハーネスの製造は現在も人手でなければ作れない。最新のフィジカルAIであっても対応できないのが実情だ。一方で、46カ国に生産拠点を展開していることにより途上国の雇用に貢献できていることは重要だと考えている。そして、このような活動をITとAIで支えていくことが私のミッションになる」と語る。

矢崎総業の丹下博氏
矢崎総業の丹下博氏

 では、矢崎総業における現在のAI活用の状況はどのようになっているのだろうか。日本国内の従業員約1万7000人を対象にした社内調査では、ITの専門部署に所属せずにAIを活用する市民開発者が5307人おり、生成AIの利用者数に至っては約97%に当たる1万6572人に達している。しかし、丹下氏は「AI活用の取り組みは一生懸命やってきたが、個人単位でのAI活用は進む一方で、エンタープライズでの効果は見えていない。社長に向かって、財務的に企業的に効果が出ましたというのがなかなか言いづらい。私自身が正直に言って実感を持てないというところが非常に大きな課題だと感じている」と強調する。

矢崎総業におけるAI活用の調査結果
矢崎総業におけるAI活用の調査結果[クリックで拡大] 出所:矢崎総業

 そこで丹下氏は、データ×AIによるIT施策の経営貢献の道筋を明らかにするためのフレームワークを検討した。このフレームワークでは、左側に財務的価値を置き、データ×AIによるプロセス変革で創出する業務価値、データ×AIによるプロセス変革施策などを経て、施策実現のための要素(ITタスク)を右側に配置している。「いろいろと施策を検討する中で行き詰っている原因が、それらの施策に値するデータができていないことにあった。どんなAIプランを作っても、AIの教育をしても、結局データで行き詰ってしまう」(丹下氏)。

データ×AIによるIT施策の経営貢献の道筋を明らかにするためのフレームワーク
データ×AIによるIT施策の経営貢献の道筋を明らかにするためのフレームワーク。最大の課題はデータ整備にあった[クリックで拡大] 出所:矢崎総業

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