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SynopsysとAnsysの技術統合が切り開く、AI時代の新たな設計/解析プロセス:Ansys Simulation World 2026 Japan(3/4 ページ)

アンシス・ジャパンは、年次イベント「Ansys Simulation World 2026 Japan」を開催した。基調講演と特別セッションでは、SynopsysとAnsysの技術統合によって進む半導体からシステム全体までを対象とした設計/解析環境の進化や、AIと物理シミュレーションを組み合わせたエンジニアリングの将来像を紹介。さらに、AIエージェントによる解析業務の効率化、デジタルツインやフィジカルAIへの取り組みなども披露された。

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AIエージェントが設計/解析業務を支援する時代へ

 続く特別セッション「Defining the Next Era of Engineering」では、Ansys Part of Synopsys プロダクトマネジメント担当 シニアバイスプレジデントのSteve Pytel(スティーブ・パイテル)氏が登壇。AIエージェントやフィジカルAIなど、次世代エンジニアリングに関する具体的な取り組みについて紹介した。

Ansys Part of Synopsys プロダクトマネジメント担当 シニアバイスプレジデントのスティーブ・パイテル氏
Ansys Part of Synopsys プロダクトマネジメント担当 シニアバイスプレジデントのスティーブ・パイテル氏

 パイテル氏は冒頭、製品やシステムの複雑化が進む一方で、開発期間の短縮が求められ、エンジニアの不足も深刻化していると指摘。「エンジニアに求められる仕事はますます難しくなっている。しかも、より短い時間で成果を出すことが要求されている。こうした課題に対応し、要求仕様を満たした製品を予定通りに市場へ投入するには、どうすればよいのか」と問い掛けた。

 その解決に向けて重要となるのが、AIと物理シミュレーションの組み合わせだ。パイテル氏も、ドーソン氏が示した“AI Proposes. Physics Validates.”の考え方に言及し、AIによる提案と物理シミュレーションによる検証を循環させる仕組みの重要性を説明した。

 一方、パイテル氏はAIの進化に注力するだけでなく、物理シミュレーションの中核技術への継続的な投資も重視する姿勢を示した。実際に2026年初めには「Ansys 2026 R1」をリリースしており、同年12月には次世代版となる「Ansys 2027 R1」のリリースを予定している。こうしたAI時代におけるSynopsysとAnsysの開発アプローチの根幹を、パイテル氏は“Physics First. Systems Aware.(物理現象を第一に考え、システム全体を意識する)”という言葉で表現した。

 続いて、AIエージェントによるプリント基板のEMC検証に関するデモが披露された。エンジニアの指示を受けたAIエージェントは、基板データの読み込みや形状チェック、EMIのリスク箇所の特定を実施。その後、近傍界/遠方界の電磁界シミュレーションを実行した。さらに、規格との照合に必要なPDF文書をそのままでは読み取れないと判断すると、自らPDFを読み取るためのツールを探し出し、業界規格の要求値とシミュレーション結果を重ね合わせて表示した。これにより、問題が生じる可能性のある箇所や、遠方界に関する規格への適合状況などを提示した。

AIエージェントがプリント基板の電磁界シミュレーションを支援するデモ画面
図8 AIエージェントがプリント基板の電磁界シミュレーションを支援するデモ画面[クリックで拡大] 出所:Ansys Part of Synopsys

 従来は数日かかっていた一連の検証作業を、AIエージェントの支援によって数時間程度に短縮できるという。エンジニアが必要に応じて指示や判断を行いながら、AIエージェントが解析や規格との照合を支援する“Human-in-the-Loop”のワークフローが示された。

独自のAIエージェントも組み込める「Synopsys Autopilot」

 パイテル氏は続けて、AIエージェントを開発/活用するための新たなプラットフォーム「Synopsys Autopilot」を紹介した。

 Synopsys Autopilotは、SynopsysとAnsysが開発するAIエージェントに加え、ユーザー企業が独自に開発したAIエージェントも組み込めるプラットフォームだ。企業のIT部門とも連携し、既存の社内システムやIT基盤に組み込むことで、AIエージェントの活用範囲を広げることを目指している。

 さらに、Synopsys Autopilotを基盤とするAIエージェント製品群「AgentEngineer」の構想も紹介された。半導体の検証/実装、アナログ&ミックスドシグナル設計から、メッシング、CFD、EMCに至るまで、各専門領域の解析/設計業務を支援するAIエージェントの展開を構想している。

「Synopsys Autopilot」を基盤とするAIエージェント製品群「AgentEngineer」の構成
図9 「Synopsys Autopilot」を基盤とするAIエージェント製品群「AgentEngineer」の構成[クリックで拡大] 出所:Ansys Part of Synopsys

 また、顧客企業が自社のプラットフォームやAIエージェントを活用する方法、最先端の高性能AIモデル(フロンティアモデル)を利用する方法など、AI導入に複数の選択肢を用意する方針も示された。そして、いずれの方法でも、AIが生成/提案した設計案については、EDAや物理シミュレーションを用いて妥当性を検証する、“AI Proposes. Physics Validates.”の考え方を重視していることを改めて強調した。

Synopsysが提示するAI導入の3つの選択肢と共通する物理法則に基づく検証の考え方
図10 Synopsysが提示するAI導入の3つの選択肢と共通する物理法則に基づく検証の考え方[クリックで拡大] 出所:Ansys Part of Synopsys

 なお、Synopsys Autopilotについては、2026年12月に予定する「Ansys 2027 R1」のリリースに向けて、今後さらに詳しい情報を公開するという。

 AIの活用は、エージェントだけにとどまらない。LLM(大規模言語モデル)を製品に組み込み、ツールの操作方法を案内したり、エンジニアが製品を使いながら必要な知識を学べるようにしたりする取り組みも進めている。また、物理シミュレーションで検証された結果を用いて高速なサロゲートモデルを構築し、多数の設計案を短時間で評価する技術も紹介した。

 さらに、OpenAIとの協業によって、エンジニアリングの専門領域に特化したフロンティアモデルを開発する方針にも言及。まず半導体設計を対象とし、その後、他の領域への展開を目指すという。

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