日本に本当に勝ち筋はあるのか ヒューマノイド「解剖」で見る中国の強さと課題:FAイベントレポート(3/3 ページ)
中国では現在、ヒューマノイドロボットの開発や量産、社会実装に向けた動きが加速している。しかし、完成品の動向を追うだけでは、その競争力の源泉や本格普及に向けた課題までは見えてこない。SUGENAのセミナー「フィジカルAI解体新書」では、ヒューマノイドをAIや関節、センサー、手などに“解体”し、中国勢の強さと残された課題を解説した。本稿ではその内容を基に、日本企業が勝負できる領域を見ていく。
「全てを自前で」にこだわらない、割り切った判断が勝ち筋に
ここまでの内容を踏まえ、SUGENAは日本の勝ち筋を「部品」「構え」「時間」の3つに整理した。
まず「部品」では、全てを自前でそろえるのではなく、日本がすでに強みを持つ領域は守り、現時点で海外に優位性がある領域は割り切って調達する。その一方で、まだ決定的な勝者がいない領域には積極的に入り込み、将来の競争力につなげていく。
「構え」では、外部の技術を活用しながらも、競争力の源泉は外部に委ねないことが重要になる。技術や部品を調達しても、システム設計や現場のデータは自ら握る。また、それらを実際の現場で使える形に落とし込む人材を育てることも欠かせない。
「時間」では、SUGENAの目標として、まず現場で実証し、接触作業のデータを蓄積する。その上で、海外の技術も活用しながら日本の手や安全設計を組み合わせ、人に触れる仕事ができるロボットへとつなげていく道筋を描く。
こうした戦略を考える上で欠かせないのが、経済安全保障の視点だ。部品の供給を途絶えさせず、現場のデータや設計/改良のノウハウを手元に残す。その上で、何を外から調達し、何を自ら持つかを見極める必要がある。
須毛原氏は「今買った方が得なもので、売ってくれるのであれば、それを使うことは普通にあり得る。ただ、経済安保を意識しながら考える必要がある」とした上で、「今は買うが、将来は自分たちで作る。それを設計していくことが非常に大事だ」と語った。
中国と同じものを全て自前で作る必要はない。使える技術や製品は取り込みながら、強い領域は守り、データや設計、手といった競争力の源泉は自ら握る。須毛原氏は「必要以上に脅威と感じる必要はないかもしれないが、中国の現実は正しく理解する必要がある」と指摘しつつ、「日本には強みがあり、勝ち筋があると心から思う」と締めくくった。
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