「ウエハーを切る」だけではない、ダイシング工程の知られざる世界:いまさら聞けない 半導体後工程(3)(1/3 ページ)
本連載では、半導体の高性能化において重要性が増す後工程を中心に解説する。前回は、ウエハーからチップを切り出すダイシング工程の役割と、その基本的な流れを紹介した。今回は、代表的なダイシング方法の特徴や使い分けを紹介する。
記事の内容を3点に集約
- 今回のテーマは何か?[↓クリックで表示]
- ブレードやレーザー、ステルスなど代表的なダイシング方法の特徴や使い分け方を紹介
- その中で最も優れたダイシング工程とは何か?[↓クリックで表示]
- どの方法が一番優れているかではなく、それぞれ異なる長所と管理すべきポイントがある
- ダイシング工程の究極の目的とは何か?[↓クリックで表示]
- 前工程で作り込んだ回路を傷めず、次の工程で問題なく使えるチップとして送り出すこと
前回は、1枚のウエハーから半導体チップを切り出すダイシング工程の役割と、その基本的な流れを紹介しました。「ウエハーを切る」と聞くと、薄い刃で1個ずつ切り分ける姿を思い浮かべるかもしれません。実際、現在でも広く使われているのがブレードダイシングです。
しかし、半導体チップの小型化や薄型化が進み、1枚のウエハーからより多くのチップを取りたいという要求が高まるにつれ、ダイシングにもさまざまな方法が使われるようになりました。
レーザーで材料を除去する方法、ウエハー内部に改質層を作って分割する方法、さらにプラズマによるエッチングを利用する方法もあります。
大切なのは、「どの方法が一番優れているか」ではありません。ウエハーの材料や厚さ、チップの大きさ、切断ラインの幅、許容できる欠けや熱影響、生産量などによって、適した方法は変わります。
今回は、ブレード、レーザー、ステルスという代表的な3方式に加え、機械的に切るという発想とは異なるプラズマダイシングを取り上げ、それぞれの特徴と使い分けを見ていきます。
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薄い刃で「削って切る」ブレードダイシング
最もイメージしやすいのがブレードダイシングです。
ダイヤモンド砥粒を含む薄い円盤状のブレードを高速回転させ、ウエハーを削りながら切断します。シリコンウエハーの加工で長く使われてきた方法で、装置、工具、加工条件に関する豊富なノウハウが蓄積されています。
ただし、「刃で切ればよい」というほど単純ではありません。
ブレードはウエハーに直接触れるため、加工時には機械的な力が加わります。ブレードの種類が材料に合っていなかったり、送り速度が速過ぎたり、刃の切れ味が低下したりすると、切断部のチップの角が欠ける「チッピング」や微細なクラックが発生します。
例えば、量産開始直後にはきれいに切れていたのに、加工枚数が増えるにつれて欠けが目立ち始めたとします。送り速度を下げれば一時的に改善するかもしれません。しかし、原因がブレードの摩耗や目詰まりなら、それだけでは根本的な解決になりません。
ブレードの状態、回転数、送り速度、切り込み量、冷却水などを確認し、どこが変化したのかを探る必要があります。冷却水にも、加工熱を逃がすだけでなく、削りくずを加工部から排出する重要な役割があります。
長い量産実績を持つ方式だからこそ、こうした加工条件を細かく管理することで安定した品質を作り込めるのが、ブレードダイシングの強みといえるでしょう。
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