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なぜ鶏肉を次工程に手渡しすると歩留まりが上がるのか 元トヨタ生技の改善4選:元トヨタ生技が見た食品工場のなぜ(4)(1/3 ページ)

本連載は、トヨタ自動車で16年間、生産技術/現場改善に携わった筆者が、食品工場で感じる「自動車工場では当たり前なのに、食品工場では当たり前ではないこと」を軸に、現場の生産性などに悩む食品製造業の経営者に向けて“問い”を投げかけ、改善のヒントを探ります。今回は、私が実際に改善した現場をご紹介します。

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この記事の三行ガイダンス

  • この連載のテーマとは?
    • 食品製造業の経営者に向けて“問い”を投げかけ現場改善のヒントを探る
  • 今回のテーマは?
    • 実際に手掛けた4つの事例を通して、改善の裏に隠された思想に目を向ける
  • 筆者が、人手が浮くと一番優秀な人から抜こうとする理由とは?[↓クリックで表示↓]
    • 「優秀な人は他部署でも改善を任せられる。そして残された人から次のリーダーが育つ」

 正直なところ、改善をやらずに済むなら、それほどいいことはない。誰だって、今のやり方でうまく回っているなら、わざわざ引っかき回したくはないだろう。

 しかし世の中は変化する。原料も、現場の人も、お客さんの求めるものも、これまでと同じということはない。その中で何もしないということは、そのまま衰退を意味する。だから、やるしかない。ならば、どうせやるなら楽しくやりたい。私はそう思っている。

 これまで3回にわたって、設備を止める思想や現場の目標値、設備について書いてきた。今回は、その先の話をしたい。

⇒連載「元トヨタ生技が見た食品工場のなぜ」のバックナンバー

改善に、正解はない

 私は食品以外にも、さまざまな製品の工場で改善の手伝いをさせてもらっている。そして毎回思うのは、同じ製品でも改善の手法は同じにはならないということだ。

 理由ははっきりしている。その会社の設備、メンバー、製品によって、取るべき形が変わるからだ。例えばメンバーの理解度が高い工場なら改善は一気に進むし、そうでなければ範囲を限定して、誰が見ても分かりやすいところから手をつける。同じ課題でも、打ち手はまるで違うものになる。いわば作品づくりに近い。だから「この製品だからこの改善手法」という唯一の答えはないと思ってよい。

 蛇足になるが、製造業の世界では「みんなが使っている生産管理ソフト」というものがないといわれる。営業や人事の領域なら、お決まりのソフトがいくつかあるだろう。しかし製造現場は各社バラバラで、プロセスそのものが異なる。だから共通のソフトなどあり得ないのだ。

 もしソフトが必要なら、私は自分たちで変えられるものをお勧めしている。ソフトに現場を合わせれば現場は混乱するし、現場にソフトを合わせようとすればすごいお金がかかる。まず現場を整えれば、システムは驚くほどシンプルなもので足りる。

 話を戻そう。改善の結果は工場によって異なる。だが、事例を示すことがヒントになるのは間違いない。今回は、これまで書いてきたことをベースに、4つの事例を紹介する。

会社の目的はもうけること

 事例の前に、私が何のために現場に入っているかを改めて書いておきたい。

 会社の目的はもうけることである。もうけるから従業員を雇えるし、新製品も作れる。もうけがなければ、会社は解散するしかない。ではそのもうけはどこから生まれるか。売り上げを上げるか、原価を下げるか、その2つしかない。

 しかし売り上げはコントロールしにくい。販売個数は需要によるし、価格はお客さんとの交渉ごとだ。ならばどうするか。私は、自分たちでコントロールできる原価低減をまず実施してほしいと思っている。

 原価低減といっても、内容量を減らしたり、品質レベルを落としたりする話ではない。工場の中のムダを取るということだ。工場の中には、人と物しかない。できるだけ少ない人と物で生産できれば、原価は下がっていく。

 ここで誤解されやすいのだが、「少ない人」とは人切りのことではない。私はいつも人手が浮いたら、一番優秀な人を抜いてほしいとお願いしている。

 たいていの社長は驚く。優秀な人を抜いたら現場が回らなくなるのではないか、と。逆である。一番優秀な人は、他の部署に行っても優秀に働ける。だからその人に改善を任せられる。そして抜けた穴には、残されたメンバーの中から次のリーダーが育つ。こうして人が育ち、新製品や新領域へのチャレンジが始まり、今度は売上アップも狙えるようになる。

 原価低減は入口にすぎない。その先に人が育つ流れをつくること。それが私の考える改善である。

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