テスラにおけるギガキャストの基本的な考え方と方向性【中編】:いまさら聞けないギガキャスト入門(7)(2/4 ページ)
自動車の車体を一体成形する技術である「ギガキャスト」ついて解説する本連載。第7回は、第6回の前編に続き、テスラのギガキャストに関する基本的な考え方とその方向性について見てみる。
5)工場建屋、電力設備
自動車工場は単なる建物ではない。図11に工場建屋の設備の例を示す。
設備としては、(1)大空間建屋、(2)クレーン設備、(3)高圧受電設備、(4)圧縮空気設備、(5)冷却設備、(6)空調、(7)ITネットワーク、(8)品質検査設備などが必要になる。
特に、プレス工程は、数千トンの荷重、大型金型交換、振動対策などが必要であり、工場建屋への投資も大規模になりがちだ。
2.4 クルマづくりのCAPEX構造
ここまで紹介してきたクルマづくりの主な工程について、主設備と投資理由をまとめると表2のようになる。
| 工程 | 主設備 | 投資理由 |
|---|---|---|
| プレス | 大型プレス機 | 巨大荷重・高速成形 |
| 金型 | 上下金型セット | 車種専用設計 |
| 溶接 | ロボットライン | 大量・高精度接合 |
| 搬送 | コンベヤー/AGV | 工程間物流 |
| 建屋 | 工場/電力 | 設備を支える基盤 |
| 表2 クルマづくりのCAPEX構造 | ||
1)最も重要な生産技術的ポイント
自動車製造では、「設備を買う」⇒「クルマを作る」、ではなく、「どの工程で、何個の部品を、どの設備で作るか」を先に決める。例えば、100の工程⇒100個の部品⇒100設備となると、工程の分だけCAPEXは大きくなる。
一方、ギガキャストのように、多数部品⇒大型一体成形⇒工程統合を狙うと以下のような効果が狙える。
- 金型数削減
- 溶接工程削減
- ロボット削減
- 工場面積削減
つまり、車体構造設計×生産工程設計=CAPEX設計であり、ここが自動車メーカーの競争力を左右する核心である。
2)テスラのギガキャストがCAPEXを減らす理由
本連載第1回で述べたように、「70点の部品⇒1点の鋳造部品」への統合は、CAPEX削減の典型例である。
ギガキャストの導入により以下のようなメリットが得られる。
- 溶接ロボットが大量に不要
- プレス機や金型の数が減る
- 工場面積が縮小
- 溶接工程の周辺設備(検査、スパッタ処理など)が不要
つまり、ボディーやアセンブリなどのための設備そのものが丸ごと消えるため、CAPEXが劇的に減る。
これは単なる効率化ではなく、工場の構造を変えるレベルの投資削減であるといえる。
3)CAPEXの要点
CAPEXとは、企業が将来の利益を生むために行う長期的な設備投資であり、製造業では工場建設や生産設備が中心となる。テスラのように部品点数を大幅に削減し、工程そのものを置き換えると、必要な設備が減り、CAPEXが大きく削減される。この考え方を発展させると、工場建設/拡張も一つの製品となる。
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