約10年ぶりに改定される「ISO 9001」で何が変わるのか JQAが語る規格改定の要点:製造マネジメント インタビュー(2/3 ページ)
業界/業種を問わず世界中の企業や組織で利用されている、品質マネジメントシステムの国際規格である「ISO 9001」が、2026年9月に約10年ぶりの規格改定を予定している。これに伴い改定の要点やどのような変化が発生するのかについて、ISO 9001のFDIS情報を基に一般財団法人日本品質保証機構(JQA)の審査員に話を聞いた。
「ISO 9001:2026」では何が変わるのか JQAの見解とは
ISO 9001:2015から約10年ぶりに規格改定が行われ、2026年9月に最新の規格となる「ISO 9001:2026」が発行される。ISO/FDIS 9001:2026では近年の経営環境や世界的な情勢を踏まえて発生している品質の新たなトレンドが規格に盛り込まれている。また、気候変動が大きな社会問題になっているため、これに関する内容も新たに追加されている。他にも解釈をより明確にするための文言修正や注記が加わり、文書化した情報の取り扱いが少し強化されているという。
大久保氏は「2020年にISOなどのマネジメントシステム認証を行う各国の認定機関が加盟する国際団体であるIAF(International Accreditation Forum、国際認定フォーラム)にて、規格改定の是非を問う投票があり、その際に変更する必要がないという結論が出ている。そのため、2015年版の規格を成功した規格と位置付け、現在の社会的な背景を含めて文章を強調/変更するという流れになった。そんな中、他のISO規格と同時に運用を実施しやすくするために“附属書SLを調和しよう”という方向性になっている。そして、リスク及び機会が規格の中心として強調されている」と語る。
ISO 9001では品質マネジメントの7つの原則(顧客重視、リーダーシップ、人々の積極的参加、プロセスアプローチ、改善、客観的事実に基づく意思決定、関係性管理)が定められるが、今回の改定ではこの7つの原則は変わらずに、各項目で強調や説明が補足されている箇所が増えている。
このことを踏まえて、今回の改定内容について、JQAでは「大幅な規格変更ではなく、規格自体の適切性や妥当性を維持するための定期的な見直しと改定」であると捉えている。2015年版のような規格の構成(共通要素)の採用や、要求事項が追加されるなどの改定はなく、要求事項の明確化が主体の改定となっている。また、昨今の世界情勢を加味して、サプライチェーンマネジメントなどの時代の変化をより意識した規格になっているという。
大久保氏は「今回の改定にあたり、どの業種でもマネジメントシステムの運用をしやすいユーザーフレンドリーな規格にするために、ISOユーザーへのアンケート調査を実施しており、この結果を踏まえて使いやすい規格になったのではないかと認識している。今回の改定を機会として、ISO 9001をさらに活用していただき、各企業が目指している品質経営に役立つ規格になった」と分析する。
今回の改定では品質マネジメントは「品質計画」「品質保証」「品質管理」「品質改善」の集合体であると位置付けられるようになった。この定義が各要求事項にちりばめられている。そして、各項目でプロセスアプローチがより強調されることとなった。
「マネジメントシステムの中には、設計プロセスや製造プロセス、購買プロセスなどが存在し、各プロセスの相互作用の特定/監視/運営管理を体系的に実施する部分がかなり強調されている」(大久保氏)。これに合わせてリスクに基づく考え方もより強調され、各項目に反映されている。
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