脱炭素KPI達成もCO2排出量は増加、パナソニックが環境目標を「現実路線」に修正:脱炭素(1/2 ページ)
パナソニック ホールディングスは、環境行動計画「GREEN IMPACT PLAN」の進捗状況を明らかにした。CO2排出量削減に関するKPIは全項目で達成した一方、算定範囲の拡大などによりバリューチェーン全体の排出量は増加し、新たに「GIP2028」と2030年度環境目標を設定した。
パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は2026年8月27日、「統合報告書」「サステナビリティサイト」「サステナビリティ データブック」の最新版を公開した。これに合わせ、「Panasonic GREEN IMPACT」などの環境施策の進捗状況について、一部報道陣の合同取材に応じた。
脱炭素に関するKPIは達成も資源循環は苦戦
パナソニックHDでは2022年にグループ環境ビジョンとして「Panasonic GREEN IMPACT(PGI)」を発表し、自社のバリューチェーンのCO2排出量を1.1億トン(OWN IMPACT)、社会の排出量削減貢献量で約1億トン(CONTRIBUTION IMPACT)、新技術や新事業による社会の排出量削減で1億トン(FUTURE IMPACT)とする目標を掲げている。また、資源循環についても自社内の取り組みだけでなく、社会実装も含めた仕組みの実現に取り組む。
これらを具体的に推進するために2030年までのマイルストーンとして環境行動計画「GREEN IMPACT PLAN(GIP)」を設定し、具体的な実現に向けた数値目標とその進捗管理を行っている。2030年には自社排出のゼロ化達成に加え、約1億トンの削減貢献を目標としている。2025年度は、「GIP2024+1」として取り組んできた。
その結果、CO2排出量削減やエネルギー転換に関するKPI(重要業績評価指標)については全ての項目で達成したが、資源循環に関するKPIは未達となり、明暗が分かれる結果となった。
具体的には、CO2実質ゼロ工場については、2025年度末に49拠点で達成する目標だったが、60拠点で達成した。また、これらに伴うGHGプロトコルのスコープ1、スコープ2におけるCO2排出量の削減については、81万トンを目標としていたが、96万トンの削減を実現した。また、スコープ3における顧客の製品使用におけるCO2削減量も、1611万トンを目標としていたが、3067万トンを削減したという。さらに、省エネ製品などを開発することで社会のCO2削減にどれだけ貢献したかという削減貢献量についても、4750万トンの目標に対して4846万トンを達成した。
一方で、資源循環については、再生樹脂の使用量目標が2.5万トンのところ、1.71万トンとなり未達となった。サーキュラーエコノミー型事業モデル/製品についても、累計16事業を目標としていたが、前年から増えず15事業のままとなった。
パナソニック オペレーショナルエクセレンス 品質・環境本部 環境経営推進部 部長の下野隆二氏は「再生樹脂の活用、サーキュラーエコノミー型事業モデルそれぞれで実現に向けた課題のクリアは進んだが、現在の市場環境において短期的に経済合理性が損なわれる状況が発生し、進めることが難しかった」と述べる。
対策は進むもCO2排出量は結果的に増加
こうした状況に加え、本質的な難しさを示しているのが「結果的にCO2排出量は増えている」ということだ。「GIP2024」の起点となる2022年度の自社バリューチェーンでのCO2排出量は1億2921万トンだったのに対し、2025年度は1億4047万トンとなり、各種対策が進んでいるにもかかわらず増加しているのが現実だ。
下野氏は「増加しているのは、CO2排出量の対象範囲や計算方法などが日々変わっていることが大きい」と説明する。国際的な環境対策を巡る制度は日々変化しており、算出方法などが目標を示した後に決まってくるようなことが起こる。これらに合わせて算出方法や対象範囲などを調整した結果、従来よりも対象製品などが増え、結果的にアクションとしてKPIは達成できても、トータルで「実質ゼロ」という将来目標から乖離する状況が生まれている。
そこで、2030年までの中間点となる2028年度までを対象とした新たな環境行動計画「GIP2028」と2030年度目標を設定した。
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