メカトロ機器を素早く動かしたい、LMガイドの剛性を見積もる:冴えない機械の救いかた(11)(3/4 ページ)
本連載「冴えない機械の救いかた」では、メカ設計の失敗事例を題材に、CAE解析や計測技術を用いて、不具合の発生メカニズムとその対策を解説していく。第11回は、メカトロ機器を素早く動かしたときに発生する振動問題を取り上げる。LMガイドやボールねじの構造を確認し、LMガイドにホリゾンタル荷重やヨーイングモーメントが作用したときの剛性を見積もる。
LMガイドの剛性を見積もってみよう
LMガイドの剛性、つまり外力やモーメントが作用したときの変位量と回転角を見積もってみましょう。モーメントと回転角には、回転の方向としてピッチ角、ヨー角、ロール角がありますが、船を想像すると覚えやすいと思います。図7に、船をモデルにしたピッチ角、ヨー角、ロール角の定義を示します。
図8にLMガイドに作用する荷重を示します。並進方向の荷重を3種類、モーメント荷重を3種類定義できます。
ここでは、ホリゾンタル荷重に対するLMブロックの変位と、ヨーイングモーメントに対する回転角を見積もってみましょう。荷重÷変位、モーメント÷回転角がばね定数となります。
「ホリゾンタル荷重÷ホリゾンタル変位」として、ホリゾンタル荷重に対する剛性(ばね定数)を求めましょう。もう1つのばね定数として、「ヨーイングモーメント÷ヨー角」を求めます。図9に解析モデルを示します。
最初のばね定数「ホリゾンタル荷重÷ホリゾンタル変位」の計算におけるホリゾンタル変位は、球のつぶれ量の倍ですね。次式で表しましょう。
式3を変形します。
ボールのつぶれ量と荷重の関係が分かりました。つぶれたボールは8個なので、LMブロックに作用する力はその8倍です。ばね定数は「荷重÷変形量」でした。ホリゾンタル荷重に対するばね定数kは式8となります。
弾性変形挙動は非線形なので、式8右辺に変位δがあります。後で比較するときには、変位δの数値の選定に注意が必要なようです。
もう1つのばね定数「ヨーイングモーメント÷ヨー角」を求めましょう。図9のLMブロックの全長をL[m]、ボールのピッチをb[m]とすると、LMブロック中心からボールまでの位置(L1、L2、L3、L4)とLは、次式で定義できます。
今、LMブロックのヨーイング回転角をΔθとします。Δθの回転によって生じる、ボールのつぶれによるLMブロックとLMレールの接近量Δrは、式11となります。
ボールのつぶれ量δの2倍が接近量Δrになるのは自明ですね。式12で書いておきましょう。
ヨーイング荷重に対するばね定数を求める手順を以下に記します。
では、ボール径を3[mm]として数値を代入しましょう。表1にボール寸法とボールの機械的性質を、表2にホリゾンタル荷重によるばね定数を示します。ホリゾンタル荷重によるばね定数は5.329×107[N/m]となりました。
表3にヨーイングモーメントによるばね定数を示します。ヨーイングモーメントによるばね定数は4072[Nm/rad]です。
先ほど、ばね定数は非線形でδに依存すると書きました。表2と表3の水色着色部に示すように、ばね定数を計算するときのボールのつぶれ量が5[μm]で等しくなるようにして、それぞれのばね定数を求めています。
ホリゾンタル荷重によるばね定数は、ヨーイングモーメントによるばね定数の1万3000倍と、数値が4桁異なることを覚えておいてください。
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