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メカトロ機器を素早く動かしたい、LMガイドの剛性を見積もる冴えない機械の救いかた(11)(2/4 ページ)

本連載「冴えない機械の救いかた」では、メカ設計の失敗事例を題材に、CAE解析や計測技術を用いて、不具合の発生メカニズムとその対策を解説していく。第11回は、メカトロ機器を素早く動かしたときに発生する振動問題を取り上げる。LMガイドやボールねじの構造を確認し、LMガイドにホリゾンタル荷重やヨーイングモーメントが作用したときの剛性を見積もる。

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メカトロ機器の構成パーツは案外軟らかい

 LMガイドのカタログを見ると、「高剛性」とうたっているので、剛性の高い機械要素という印象を受けます。しかし、その原理から、思っているほど剛性が高くないことを説明します。

 面と面が接触している場合と、ボールが接触している場合を比較してみましょう。ボールがあるということは、部品間の接触は球と曲面の点接触です。点接触では接触面積が極端に小さいため、局所的な面圧が大きくなり、簡単に陥没すること、つまり接触剛性(ばね定数)があまり大きくないことが予測されます。

 どの程度か試算します。図5に示すように、円柱と平面の接触と、2球の接触を比較してみましょう。

円柱と平面の接触と2球の接触
図5 円柱と平面の接触と2球の接触[クリックで拡大]

 円柱と平面の接触は、剛体パンチによる接触とし、円柱は剛体とします。陥没量eと加圧力Pには、式1の関係があります(参考文献[1])。

式1
式1

 ばね定数を式2で定義します。

式2
式2

 2球の接触にはヘルツの接触公式を使います。2球の接近量δと加圧力Pには、式3の関係があります(参考文献[1])。

式3
式3

 今回は球と平面の接触なので、RBは無限大とします。ばね定数を式4で定義しましょう。

式4
式4

 円柱と平面の接触を普通の部品の接触(面接触)と考えて式1式2で計算し、2球の接触をLMガイド内の接触(球接触)と考えて式3式4で計算します。鉄鋼材料の材料定数を使い、半径を3[mm]としてばね定数を計算した結果を図6に示します。

面接触と球接触のばね定数
図6 面接触と球接触のばね定数[クリックで拡大]

 LMガイド内のボール数は30個くらいでしょうか。30個で3000[N]の軸力を発生させるとすると(フレーキングが起こりそうですね)、ボール1個当たりの荷重Pは100[N]です。

 面接触の場合のばね定数は1×109[N/m]、球接触の場合のばね定数は2×107[N/m]となり、両者のばね定数は約2桁違います。ボールを使った接触にすると、ばね定数が約100分の1になるということでしょうか。

 ボールねじやLMガイドのカタログを見ていると、ゴツゴツっとした剛性の高そうなものに見えます。しかし、実は点接触なので、剛性は見た目よりかなり低くなります。

 図6において球接触のグラフが傾いているのは、荷重が小さいときは図5における2a寸法が小さく、つまり接触面積が小さいため、簡単に陥没するからだとお考えください。球接触のばね定数は非線形です。

参考文献:

  • [1]日本機械学会|機械工学便覧 A4 材料力学(1992)

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