空飛ぶクルマ、認知度上昇も安全面から利用意向伸び悩む 社会受容性向上が課題:航空機技術
MS&ADインターリスク総研は、空飛ぶクルマに関する消費者調査の結果を公表した。認知度は上昇した一方で、安全面への不安を背景に利用意向は5割を下回り、社会受容性向上が今後の課題となった。
MS&ADインターリスク総研は2026年7月27日、空飛ぶクルマに関する消費者調査の結果を公表した。認知度は上昇した一方で、安全面への不安を背景に利用意向は5割を下回り、社会受容性の向上が今後の課題となった。
同社は2026年2月、15歳から89歳までの男女2800人を対象にWebアンケートを実施し、空飛ぶクルマに対する認識や期待、不安などを調査した。今回の調査では、2020年以降に実施した過去の調査結果との比較も行った。
調査によると、空飛ぶクルマという言葉を「聞いたことがある」と回答した割合は、前年調査から7.0ポイント上昇した。2025年日本国際博覧会(2025年大阪・関西万博)でのデモ飛行や機体展示、関連報道やSNSでの露出増加が認知度向上につながった。
一方で、「空飛ぶクルマは実現すると思う」と回答した割合は引き続き減少傾向にあるものの、前年より減少幅は小さくなった。また、「実現するとは思わない」とする回答割合は初めて減少に転じた。調査結果からは、実現性に対する懐疑的な見方がやや緩和した様子がうかがえる。
しかし、実際に利用したいと回答した割合は49.3%にとどまった。2021年調査では59.0%だったが、その後は低下傾向が続いている。自宅上空を飛行する場合の懸念としては、機体の墜落や落下物、セキュリティリスクなどが多く挙げられた。認知度が高まっても利用意向に結び付いていない背景には、安全性への根強い不安があると同社は分析している。
調査では、日常の移動手段に対する不満や期待についても確認した他、地域や年齢、職業、年収などの属性ごとの違いも分析した。同社は、社会実装には利用者や地域社会の意識を把握することが重要だと指摘している。何を期待し、何に不安を感じているのかを理解する必要があるという。
背景には、国による制度整備の進展がある。国土交通省は「空の移動革命に向けたロードマップ」に基づき、機体や運航の安全基準、操縦者の技能証明制度、離着陸場の整備基準などの検討を進めている。空飛ぶクルマは都市部での日常移動に加え、中山間地域や離島での移動手段、観光用途、災害時の救助活動など幅広い活用が期待されている。
MS&ADインターリスク総研は、今回の調査結果を今後の取り組みに生かす。次世代エアモビリティに関するリスクマネジメントの知見を活用し、安全性や社会受容性の向上に向けた支援を進める方針だ。空飛ぶクルマの普及には技術開発だけでなく、利用者の不安軽減や信頼醸成が不可欠となりそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Joby Aviationとトヨタ、eVTOLの生産を担う合弁会社を設立
Joby Aviationとトヨタ自動車は、Joby Aviationが開発した電動垂直離着陸機の生産拠点の運営を担う合弁会社を設立する。両社の強みの融合により商業生産を目指す。
SkyDriveの空飛ぶクルマが時速100kmの前進飛行試験に成功、2028年に商用化へ
SkyDriveは、開発中のマルチローター型の空飛ぶクルマ「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」について、実用速度域となる時速100kmでの前進飛行試験を実施し、機体の安定性、制御性、操縦性、推進システム、飛行制御システムおよび搭載機器が想定通りに機能することを確認したと発表した。
“空飛ぶ船”「シーグライダー」の社会実装に向けた共同開発プロジェクトに合意
商船三井は、日本航空、ロイド船級協会およびREGENT Craftと、完全電動の“空飛ぶ船”「シーグライダー」の日本における実用化に向けた共同開発プロジェクトの合意書を締結した。
ホンダジェットの機体性能を向上させるアップグレードパッケージを販売開始
ホンダ エアクラフト カンパニーは、初期型HondaJet及びHondaJet APMG機の所有者向けに既存機の性能向上が可能となる新たなアップグレードパッケージを2025年12月に発売した。
最大16分間の飛行が可能! W.S.Pが持ち運び可能な次世代エアモビリティーを発売へ
ワールドスキャンプロジェクト(W.S.P)はワンボックスカーで持ち運び可能な次世代エアモビリティー「STAR WALKERS」を発売すると発表した。
パイロットレスの空飛ぶクルマの社会受容性向上に関する連携協定を締結
山梨県、日本航空、MS&ADインターリスク総研、山梨大学、九州大学は、パイロットレスの空飛ぶクルマである無操縦者航空機の実装化を目標に、その社会受容性向上に関する産官学の連携協定を結んだ。


