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テスラにおけるギガキャストの基本的な考え方と方向性【前編】いまさら聞けないギガキャスト入門(6)(3/5 ページ)

自動車の車体を一体成形する技術である「ギガキャスト」ついて解説する本連載。第6回からは前後編に分けて、テスラのギガキャストに関する基本的な考え方とその方向性について見てみる。

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2.2 CAPEXとは何か

 CAPEXとは、Capital Expenditureの略で、「資本的支出」「設備投資」と訳される。企業が将来の利益を生み出すために行う長期的な投資支出のことである。具体的には、建物、機械設備、ITインフラなどの固定資産の取得や既存資産の価値向上/耐用年数延長を目的とした支出を指す。

 例えば、製造業での生産設備の購入、工場の拡張、サーバや大規模ITシステムの導入、建物の空調設備やエレベーターの更新などが該当する。これらは単なる修繕や維持管理ではなく、資産価値を高める投資である点が特徴だ。

1)CAPEXに含まれる主なもの

  • 工場建設費
  • 生産ラインの設備(ロボット、プレス機、鋳造機など)
  • 建物/倉庫/インフラ
  • 大型機械/車両
  • ITインフラ(サーバ、ネットワーク設備)
  • 長期使用を前提とした改修工事

 これらは“長く使う資産”であり、減価償却の対象になる。

2)CAPEXとOPEX(運用費)の違い

 CAPEXとよく比較されるのがOPEX(Operating Expenditure:運用費)である。表1に、CAPEXとOPEXとの比較を示す。

 OPEXは、日常的な事業運営に必要な費用であり、電気代、清掃費、修繕費などが含まれる。CAPEXが将来の価値創出を目的とした投資であるのに対し、OPEXは短期的な運営コストとして扱われる。会計上、CAPEXは資産として貸借対照表に計上され、耐用年数に応じて減価償却されるのに対し、OPEXは発生年度の費用として損益計算書に計上される。

項目 CAPEX(資本支出) OPEX(運用費)
目的 長期資産の取得/改善 日々の運営に必要な支出
工場建設、ロボット購入 電気代、人件費、材料費
会計処理 資産計上→減価償却 その年の費用として計上
影響 長期的な競争力 短期的な利益/コスト
表1 CAPEXとOPEXの比較

3)製造業(特に自動車メーカー)におけるCAPEXの意味

 一般的に、自動車工場は巨大で、設備も高価であるため、CAPEXは企業の競争力に直結する。特に車体製造では、以下のような設備がぼう大なCAPEXを必要とする。

  • (1)ボディープレス機(1台、数十億円規模)⇒ドロー(絞り)、トリム(抜き)、ベント(曲げ)、フランジング/ベンディング(寄せ曲げ)の4工程でプレス加工するので、ボディープレス機は4台必要になる
  • (2)ボディープレス金型(上型と下型を1セットとして、数億円)⇒(1)で挙げた4つの工程それぞれに上型と下型の金型を用いるので、合計で8つの金型製作が必須になり、コストは合計数十億円程度
  • (3)ボディー溶接ロボット(1台数百万〜数千万円)
  • (4)ボディー搬送装置/治具
  • (5)ボディー組み立てなどを行う工場建屋や電力設備

 つまり、ボディー車体をどう作るか(工程設計)がCAPEXの大きさを決める。

 自動車工場のCAPEXを理解する場合、重要なのは「クルマを作る設備」ではなく、「車体をどのような思想に基づく工程で作るか」が投資額を決める、という点である。

 特に、車体(Body in White:塗装前のホワイトボディー)は、鋼板⇒プレス成形⇒部品搬送⇒溶接組み立て⇒車体完成という流れで作られるため、各工程の設備設計が巨大な固定費になる。

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