AlteraはITバブルを切り抜け全盛期へ、時代を先取りしたArmコア+FPGAの製品も:プログラマブルロジック本紀(13)(3/3 ページ)
FPGAに代表されるプログラマブルロジックICの歴史をたどる本連載。第12回は、第4回で紹介した1990年代後半以降のAlteraの続き。2000年に向けて主力製品をCPLDからFPGAに移行する中で矢継ぎ早に新製品を投入し、ITバブルも切り抜けて全盛期へと向かう。
ドットコムバブル崩壊の危機を切り抜ける
2000年にはもう2つ製品が追加されている。まずはACEX。APEXがハイエンド向けなのに対して、ACEXはローエンド向けであり、まず1999年9月にACEというコード名で発表されたものが後にACEX 2Kファミリーに改称された(図11)。次いで、2000年3月にこれのローエンドとしてACEX 1Kファミリーとして追加発表された。発表はACEX 2Kの方が先だったが出荷は2000年後半にずれ込み、一方ACEX 1Kの方は2000年3月の発表に合わせて出荷も開始されている。
ACEXの構造は図12に示すように、FLEX 10Kの構造と見分けがつかないというか、要するにFLEX 10Kの小型版ではないか? という感じすらする。ただし、FLEX 10Kとは幾つか異なる部分もある。
1つは、MultiVoltの対応で、初期のFLEX 10Kシリーズは3.3Vと5Vのみの対応で、後期モデルでは2.5Vが追加されたが、ACEXは全製品2.5V/3.3V/5V対応である。また、FLEX 10KはPCI Revision 2.1準拠なのに対して、ACEXはRevision 2.2で33MHzと66MHzの両周波数に対応している。また、EABの容量が増えており、例えばFLEX 10KのEP10K10(1万ゲート)は3つのEABを持ち、総計6144ビットのRAMが提供されるが、ACEX 1KのEP1K10は同じ1万ゲートでEABも3つだが、総計1万2288ビットのRAMが提供されるといった具合だ。
FLEX 10Kは初期が0.5μm/3層メタル、次いで0.35μm/4層メタルのFLEX 10KAが登場し、0.25μm/5層メタルのFLEX 10KE/KBが追加された。しかし、ACEX 2Kは0.18μm/6層メタル、ACEX 1Kは0.22μm/6層メタルでの製造となっている。いわばFLEX 10Kシリーズの規模を小型化しながら最新プロセスで作り直したのがACEXシリーズといえるだろう。
このACEXシリーズの回路規模はMAX 7000シリーズの最大構成とやや被る感があり、これまでCPLDを提供してきたユーザーに対する低価格FPGAのラインアップを追加した、という感じである。
もう1つ、やはり2000年に登場したのがMercury PLDである。こちらは通信業界向けのグルーロジックというか、高速なシリアル通信におけるCDR(Clock Data Recovery)用という、非常にニッチな用途に向けて開発された製品である。差動信号とCDRがPLDの内部に統合されており、HSDI内に専用のシリアライザ/デシリアライザ、クロックリカバリー回路などが搭載されている(図13)。
前回記事の最後で、「2000年には売上高137億6800万米ドル、営業利益46億9900万米ドルまで拡大した」と書いたが、その背景にはこうした積極的な製品攻勢があったというのは間違いないだろう。既にCPLDは同社にとっては主力製品ではなくなっており、ほぼFPGAのメーカーに脱皮したとして良いかと思う。
もっとも、翌2001年には売上高が83億9000万米ドルまで低下、4000万米ドルの営業損失を出している。これはAlteraに限った話ではなく、ドットコムバブル崩壊の影響を受けて通信業界を中心に大幅に売り上げが減退したことに起因する。その影響もあってか、2001年は特に新製品はなく、開発ツールのQuartusがQuartus IIになったことくらいしか特筆すべき出来事はなかった。
この影響は続く2002年まで響き、2002年は売上高が71億2000万米ドルまで低下した。ただし、営業利益は9100万米ドルと黒字に戻り、2003年には売上高82億7000万米ドル、営業利益1億5500万米ドルと何とか再び成長路線に戻すことに成功している。この2002年の黒字化と、そこからの再成長のドライバとなったのが、ラインアップを一新したFPGA製品であった。ここで登場するのが、ハイエンド向けのStratixとローエンド向けのCycloneという、やっとおなじみのブランド名が登場するのである。(次回に続く)
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