アトピーのかゆみや症状に差が出る理由、T細胞受容体の違いにあり:医療技術ニュース
広島大学と理化学研究所は、アトピー性皮膚炎の症状の違いが生じる仕組みについて、抗原を認識するT細胞受容体の違いが病態の特徴を決定している可能性があることを明らかにした。
広島大学は2026年7月1日、アトピー性皮膚炎の症状の違いが生じる仕組みについて、抗原を認識するT細胞受容体の違いが病態の特徴を決定している可能性があると発表した。T細胞やT細胞受容体を標的とした新たなアトピー性皮膚炎治療法の開発に役立つ可能性がある。理化学研究所との共同研究による成果だ。
アトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー疾患では、同じアレルゲンに反応して発症しても、その症状の現れ方や重症度は個々で異なる。研究グループは、T細胞がダニ抗原を認識するT細胞受容体を発現するようにした2系統の核移植クローンマウスを用い、ダニ抗原によって引き起こされるアトピー性皮膚炎様病態を比較した。その結果、両マウスともIgE抗体産生や炎症細胞浸潤を伴うアトピー性皮膚炎様症状を発症した。
しかし、片方のクローンマウス系統では病態の進展に伴い明確な掻痒行動が見られたが、もう一方の系統では認められなかった。その際、掻痒行動に関わるサイトカインの1種であるIL-22の皮膚における発現が両系統で異なっていた。
両系統からT細胞だけを取り出して抗原応答性を比較したところ、増殖反応やサイトカイン発現パターンにも顕著な差が見られた。遺伝情報が完全に一致した近交系マウスの遺伝背景を持つことから、2つのクローンマウス系統間で異なる部分はT細胞受容体のみだ。つまり、同じ抗原に反応するT細胞でも、その抗原認識に関わるT細胞受容体が異なるだけで、引き起こされるアトピー性皮膚炎病態が異なる性質を示すことが明らかになった。
これまで、病態の多様性はアトピー素因などの内的因子や、食住環境などの外的因子が強く関わると考えられてきた。今回の研究成果により、T細胞受容体がアレルギー病態の特徴を規定する可能性が示された。今後は、異なるT細胞受容体がどのようにして病態に関わるのか、より詳細に解析する予定だ。
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