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自己修復と再成形が可能な熱硬化性CFRP材料技術

帝人は、自己修復と再成形が可能な熱硬化性炭素繊維複合材料(CFRP)を開発した。今後は、2028年度に同開発品のサンプル提供開始を目指す。

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 帝人は2026年7月21日、従来の炭素繊維複合材料(CFRP)と同等の機械的特性を有しながら、加熱による自己修復機能と高いリサイクル性を兼ね備えた熱硬化性CFRPを開発したと発表した。

 同開発品は、所定の温度で短時間加熱することで損傷部位を修復できる他、簡単工程によるリサイクルを可能とし、製品の長寿命化と資源循環の推進に貢献する。

特定の薬液に浸すことで樹脂を分解可能

 炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたCFRPは、「強くて軽い」という特長から、航空機や自動車、スポーツ用品などの材料として使用されている。

 一方、近年、地球温暖化を背景に、製品のライフサイクル全体における温室効果ガス(GHG)の排出量削減に貢献する製品のニーズが高まっている。しかし、熱硬化性CFRPは、溶融や再成形ができず、使用後に発生する廃棄物の多くは焼却や埋め立て処理されていることから、環境負荷軽減に向けた新材料の開発が急務となっている。

 こうした状況を踏まえて、同社はこれまで、環境配慮型の炭素繊維ブランド「Tenax Next(テナックスネクスト)」の展開などを通じて、GHG排出量の低減や廃棄物の削減に取り組んできた。

 同社は、長年培ってきた高分子材料の設計技術を活用し、従来の優れた機械的特性を有しつつ、再成形や樹脂分解によるリサイクルが可能で、加熱による自己修復機能も備えた樹脂を開発した。同樹脂をCFRPに採用することで、環境負荷の低減に貢献する循環型の熱硬化性CFRPを開発した。

 同開発品は、所定の温度で短時間加熱することにより、損傷した樹脂層が修復される。これにより、使用過程で劣化したCFRPを廃棄することなく継続して使用できるため、製品の長寿命化を通じて廃棄物の削減に貢献する。

自己修復機能。CFRPの断面図(左)と超音波探傷結果(右)
自己修復機能。CFRPの断面図(左)と超音波探傷結果(右)[クリックで拡大] 出所:帝人

 一度成形した従来の熱硬化性CFRPは、含浸されている熱硬化性樹脂が加熱しても溶融および流動しないため、再成形できない。今回の開発品は、成形後も所定の温度域で流動性を示すため、圧縮成形などによるCFRPのリサイクルが可能だ。

 従来、回収した使用済み熱硬化性CFRPから炭素繊維を分離するためには、400℃を超える高温炉で長時間かけて樹脂を燃焼分解する必要があり、大きな環境負荷を伴っていた。同開発品は、特定の薬液に浸すことで樹脂を分解できるため、CFRPから炭素繊維を容易に分離できる。これにより、環境負荷が低く、生産性にも優れた炭素繊維のリサイクルを実現する。

樹脂分解による炭素繊維リサイクル
樹脂分解による炭素繊維リサイクル。特定の薬液に浸すことで樹脂が分解し、容易に炭素繊維を分離回収可能。分解前のCFRP(左)と分解後の炭素繊維(右)[クリックで拡大] 出所:帝人

 今後は、2028年度に同開発品のサンプル提供開始を目指し、大学や研究機関とも連携しながら研究開発を進めていく。軽量化と耐久性向上、環境負荷低減のニーズが高い、航空機、自動車、産業機械などを中心に、幅広い用途へ展開を図る。

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