帝人の当期純損失は880億円、マテリアルセグメントの事業利益は1億円:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
帝人は2025年度決算で、親会社株主に帰属する当期純利益が880億円の損失となったと発表した。この結果の要因について、オンラインで開催された2025年度決算発表の会見を通して紹介する。
帝人は2026年5月11日、オンラインで記者会見を開き、2025年度(2025年4月1日〜2026年3月31日)の決算と2026年度(2026年4月1日〜2027年3月31日)の業績見通しを発表した。
マテリアルセグメントの事業利益は1億円
2025年度の売上高は前年度比13.2%減の8732億円で、事業利益は同6.6%減の258億円となり、営業利益は707億円の損失、親会社株主に帰属する当期純利益は880億円の損失となった。
セグメント別では、マテリアルセグメントの売上高は同26.3%減の3386億円で、事業利益は同98%減の1億円となった。
同セグメントは、アラミド事業、樹脂事業、炭素繊維事業、複合成形材料事業で構成される。
アラミド事業では、欧州における自動車市場の回復の遅れや、防弾防護用途における顧客のプロジェクト遅延などが、主力製品であるパラアラミド繊維「トワロン」の販売に悪影響を及ぼしたが、産業用途での拡販により販売量は増えた。しかし、価格競争が厳しさを増している光ファイバー向け用途の比率が高まり、販売構成が悪化した。
加えて、第1四半期の大型定修などによる操業度低下もあり、第2四半期末に計上した減損による償却費減少の影響が下期に発現したものの、前年度比では増収/減益となった。アラミド事業では、現在実行中の抜本的なコスト構造改革により、早期に基礎収益力を回復させることを目指している。
樹脂事業では、中国景気の低迷や競争環境の激化が継続したが、主力のポリカーボネート樹脂の販売数量は堅調に推移した。原料価格の低下に伴い、販売価格が低下したが、スプレッドはほぼ横ばいとなった。結果、前年度比では減収となったものの、コスト改善を背景に増益を記録した。
炭素繊維事業では、航空機向け用途におけるサプライチェーン上の制約の継続、産業用途では、欧州経済の低迷や競争環境の激化により、販売量が減少し、操業度が低下した。また、汎用品を中心とした販売価格の低下が継続し、前年度比で減収/減益となった。炭素繊維事業においても、収益力の改善に向け、米国工場の一時休止を含む抜本的なコスト構造改革を実行している。
複合成形材料事業では、北米事業における収益性の改善および前年度の減損に伴う償却費減少などが収益に寄与した。欧州では、自動車市場の減速を受け、一部車種での需要減により販売量が減った。結果、前年度比で減収/増益となった。
帝人グループ 執行役員 経理・財務管掌の嶋井正典氏は「マテリアルセグメントが減収となった大きな要因は、複合成形材料の北米事業の譲渡が2025年7月1日に完了した影響だ。事業利益については、操業度の低下や販売構成などの悪化により、前年度比59億円減の1億円となった」と指摘した。
繊維/製品セグメントの売上高は同0.5%減の3501億円で、事業利益は同4.2%減の171億円だった。同セグメントの衣料繊維分野では、北米向けテキスタイルや国内向け衣料品の販売が好調に推移するとともに、中国における素材/製品の販売も業績に大きく貢献した。産業資材分野では、自動車関連用途で需要回復遅れの影響があったが、各種フィルター向けのポリエステル短繊維やテレビ通販での生活雑貨の販売が好調を維持した。
また、現在は持続的な成長と企業価値の最大化を目的に、帝人フロンティアと旭化成アドバンスとの経営統合の準備を進めている。
ヘルスケアセグメントの売上高は同1.2%増の1386億円となり、事業利益は同136%増の134億円となった。
ヘルスケアセグメントの在宅医療機器分野では、在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場において、検査数の増加に伴い新規処方件数の拡大が継続し、レンタル台数が堅調に増加した。在宅酸素療法(HOT)市場もレンタル台数が堅調に推移し、2023年上市の携帯型酸素濃縮装置のレンタル台数が増えた。
医薬品分野では、複数のライセンス対価収入が収益に貢献した。一方、後発品の浸透加速および長期収載品を中心とした2025年4月の薬価改定が影響。また、同年11月には、副甲状腺機能低下症治療剤「ヨビパス」を上市した。糖尿病治療剤の販売権減損処理に伴う償却費減は、事業構造転換の推進に伴う固定費削減効果が発現した。
その他セグメントの売上高は同19.7%減の460億円で、事業利益は同35.6%減の46億円となった。
同セグメントの電池部材・メンブレン分野は、堅調な販売により安定的に収益を確保した。再生医療分野は医薬品開発製造受託(CDMO)事業の立ち上げ事業の立上げが順調に進展。埋込医療機器分野では、帝人メディカルテクノロジーが営む吸収性骨接合材などの事業が伸長した。また、人工関節などの事業を営んでいた帝人ナカシマメディカルは株式売却により連結対象から外れた。
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