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コスト削減の鍵は“共創とAI活用” 製造業に必要な「新しい開発購買」の形とは今だからこそ知りたい製造業の開発購買【後編】(2/3 ページ)

製造業が直面するコスト上昇圧力が大きく高まる中、コスト適正化の一手として再び脚光を浴びている「開発購買」について解説する本連載。今回の後編では、従来の開発購買の課題を解消し、組織的な活動として機能させる「新しい開発購買」のポイントを紹介する。

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1)誰と共創するか――戦略パートナーの特定

 従来のサプライヤーマネジメントは、「バイヤー企業が、現在取引しているサプライヤーをいかに管理/評価し、改善をさせるか」という発想が中心だった。しかし、サプライヤー優位の時代における戦略的サプライヤーマネジメントは、「パーパスの共有と共創」である。

 ここで重要になるのが、“誰と組んで共創するか”ということだ。特に、開発購買においては、「自社製品のコスト/品質/技術革新に貢献できるサプライヤーはどこか」という点が重要だ。固有の技術や安定的な供給能力を持っている、コスト競争力が非常に強いなどの視点から、「このサプライヤーと組めば、製品コストや技術的差別化で貢献度が高い」といった仮説を持ち、サプライヤーを広く捉え直して、開発上流で共創すべき戦略パートナーを明確にすることが必要だ。

 多くの企業で、従来の開発購買の活動は、幅広く現在取引を行っているサプライヤーへVE(Value Engineering)/VA(Value Analysis)の提案を求める形で進められてきた。一方で、このような一般的な方法は、形式的な取り組みで終わってしまい、効果が出にくくなっていることも事実だ。

 このような限界を超えるためにも、この戦略パートナーと組みたいという意思表示やサプライヤーにとってのメリットの提示、共創するモチベーションを高める取り組みといった関係性作りによる“両想いの創出”が必要となる。

2)どのように共創するか――情報の流れを変える

 戦略パートナーを特定できたら、次の課題は「関係性の転換」となる。共創型の関係に移行するために必要なのは、情報の非対称性を崩すことだ。機密性や知的財産に留意しつつ、自社の開発ロードマップや製品の方向性、コスト目標などを戦略サプライヤーと早期に共有する他、販売マーケットや需要予測、販売予定数、生産計画などの市場情報なども積極的に開示するのが良い。サプライヤー側の新技術情報や技術ロードマップ、生産設備計画などの情報も併せて共有すべきだ。

 また、サプライヤー評価の指標も、毎年の価格低減率のみで評価するモデルでは、サプライヤーが開発へ関与するというモチベーションが生まれない。そのため、共創による技術貢献を評価指標に加え、長期的な取引関係を前提とした発注の安定化によって、サプライヤーにインセンティブを作ることが求められる。さらに、DR(デザインレビュー)への参加などで、設計初期段階でのVE/VAや新技術提案が、開発部門へ自然に流れる「情報の経路」をプロセスとして組み込むといった活動も、共創を仕組みとして機能させる鍵となる。

3)事例:マツダと日本製鉄の共創活動

 これらの内容に関連する事例が、マツダが2025年10月に発表した、日本製鉄との車体開発における共創活動の成果だ(図2)。マツダは戦略車種である「CX-5」の開発で、主な鋼材メーカーを日本製鉄に絞って共創を進めた。

図2:マツダと日本製鉄の共創活動
図2:マツダと日本製鉄の共創活動[クリックして拡大] 出所:フォーティエンスコンサルティング

 マツダは従来の部品ごとの個別発注から、クルマ1台分を集約発注する手法へと「鋼材の買い方改革」を進めた。鋼材は車体コストの大部分を占め、日本製鉄は独自の解析技術と次世代鋼材コンセプトを持つ技術パートナーとして、デザイン前の商品企画の段階から開発へ参画したのである。

 このような上流工程からの共創により、手戻りや無駄な工数が減少し、サプライチェーン全体でのコスト削減を果たした。具体的には鋼材重量で前モデル比10%減、製造コストも同程度の削減につながったとされる。

 この共創案件で特筆すべきなのは、マツダが、日本製鉄というケイレツ関係のない独立系メーカーとこのような活動を展開したことであり、従来の枠組みを超えた戦略的な選択であったことだ。また、情報の流れを変えるという点からは、従来よりも大幅に早い段階で発注を決定し、日本製鉄のメンバーが商品企画の段階から開発へ参画することで、「鋼板の性能を進化させる」という視点から、「クルマの性能を引き出すために鋼板はどうあるべきか」を考えるようになった。

 これらの活動が、日本製鉄側の生産効率化や輸送コスト削減にもつながった。このようなデザイン段階から要求性能と用いる鋼材を話し合って決める仕組みは、情報の流れの改革を意味する。

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