コスト削減の鍵は“共創とAI活用” 製造業に必要な「新しい開発購買」の形とは:今だからこそ知りたい製造業の開発購買【後編】(1/3 ページ)
製造業が直面するコスト上昇圧力が大きく高まる中、コスト適正化の一手として再び脚光を浴びている「開発購買」について解説する本連載。今回の後編では、従来の開発購買の課題を解消し、組織的な活動として機能させる「新しい開発購買」のポイントを紹介する。
昨今の中東紛争に起因したナフサショックの発生などにより、多くの製造業でコスト構造が急速に悪化している。こうしたコスト上昇を仕様確定後の価格交渉だけで吸収することには限界がある。そのため、材料や工法、部品構成、サプライヤー選定を開発上流から見直し、コスト構造そのものに働きかける必要がある。
そこで注目したいのが「開発購買」だ。同手法は開発部門と購買部門が共通の目標の下で連携し、仕様確定前にサプライヤーの知見や技術を取り込むプロセスを構築する。さらに、そこで得られた知見を、組織的に蓄積/活用できるようにする取り組みである。しかし、その実現には、従来の開発購買が抱えてきた「部門間の意識の壁」「情報共有の仕組みの壁」「属人性の高さ」を乗り越える必要がある。
後編では、これらの課題を解消し、開発購買を組織的な活動として機能させる「新しい開発購買」のポイントを解説する。
⇒前編「製造業のコスト削減に効果大! それでも『開発購買』はなぜ根付かないのか」
部門横断型KPIの設定とコミュニケーション強化で部門間の意識をそろえる
新しい開発購買の推進にあたり、まず乗り越えるべき課題は「部門間の意識の壁」である。前編で述べた通り、開発部門と購買部門の間には意識の差がある。これを解決するためには、開発購買へ取り組む主体づくりが必要だ。そのためには、原価目標などの部門横断型KPI(重要業績評価指標)を設定し、開発部門が主体的に取り組む仕組みが重要となる。
また、開発部門と購買部門のコミュニケーションを強化するために、同じフロアで協業するなどの同床化や、開発部門のフロアに購買部門の机を置き常駐させてもらうなど物理的な壁を取り払い、部門間の壁を越えて開発購買を主体的に一緒に取り組むといった工夫も有効である。部門横断型のKPI設定や部門を越えた共創活動は、新しい開発購買を実現する第一歩となるだろう。
サプライヤーと戦略的に共創する
次に目を向けるべきは「情報共有の仕組みの壁」である。開発購買に重要となる情報共有は、社内だけに閉じた話ではない。これまで開発購買が進まなかった大きな要因として、サプライヤーの技術や知見を開発上流で活用するための仕組みが十分に整っていなかったことが挙げられる。
多くの企業において、サプライヤーは「要求仕様に基づきモノやサービスを提供し、対価を受領する相手」として位置付けられており、バイヤーは「できるだけ安く買い」、サプライヤーは「できるだけ高く売る」ことがそれぞれの立場から望まれていた。この関係性では、サプライヤーの持つ製造技術/材料知見などを取り込み、QCD(品質、コスト、納期)の最適化を行うことは難しい。
開発購買を実現するには、サプライヤーとの関係性を変え、共創活動として捉える必要がある。そのためには、「誰と共創するか」という戦略的な選択と、「どのように共創するか」というプロセスの設計を通じて、従来とは違った仕組みづくりをすることが求められる(図1)。
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